戸水寛人

戸水 寛人（とみず ひろんど）

戸水寛人は1861年8月1日に加賀国（現在の石川県）で生まれた日本の著名な法学者であり、政治家でもあります。彼は長男として誕生し、法学の分野で高い評価を得て、多くの影響を与えました。その学位は法学博士であり、教育界でも重要な役割を担っていました。

学歴とキャリアの始まり

彼は帝国大学法科大学（現在の東京大学法学部）を卒業した後、ローマ法と民法を専攻するためにヨーロッパへ留学します。1894年に帰国し、帝国大学法科大学の教授に就任し、教育と研究に専念しました。

日露戦争と「バイカル博士」の名

1904年、日露戦争が勃発する際、戸水は富井政章らと共に「七博士意見書」を提出します。この意見書では、ロシア帝国への武力侵攻を提言し、特にバイカル湖以東の東シベリアの占領を強く主張しました。このことから彼は「バイカル博士」と称されるようになります。日露戦争終結後、戸水は賠償金30億円と共に、樺太や沿海州、カムチャッカ半島の割譲を求める声を上げ、これに対して文部省は彼を一時休職処分にしました。

しかし、彼は引き続き宮内省に対しポーツマス講和会議の拒否を上奏し、結果として本件は当時の帝国大学総長の解任に至る事態を引き起こしました（いわゆる戸水事件）。この一連の行動に対して批評家の立花隆は、彼の発言や行動を「誇大妄想的」「夢想家」と位置付けています。

政治活動と弁護士業

1908年、彼は第10回衆議院議員総選挙で戊申倶楽部から当選し、その翌年には立憲政友会に参加しました。その後、彼は5期にわたって衆議院議員を務める傍ら、弁護士としても活動を展開しました。日本大学、早稲田大学、中央大学、専修大学などの教育機関で教育を行い、多方面での貢献が見られました。

大正時代の経済的活動とその批判

1914年に第一次世界大戦が始まり、戸水はこの時期に多くの企業発起に関わります。しかし、彼は無価値に等しい株式を売る行為などで「会社魔」と呼ばれる松島肇と関係を持つなど、経済活動において問題を抱えることになります。また、郵便局長の立場を利用し、不正な方法で収入印紙を横領した津下精一とも合同し、これが後に憲政会やマスコミから厳しい批判を受ける原因となりました。彼の言動は、当時の大正バブル期の証券詐欺に関連づけられ、不名誉な扱いを受けることとなります。

晩年と死

1935年1月10日、彼は外出中に脳溢血で倒れ、10日後に死去しました。法学界や政治の分野における彼の功績は大きく、特に日露戦争に関する意見表明は今でも注目されています。彼の弟、松寺竹雄もまた法曹界での重要な人物であり、兄弟の影響を受けながらそれぞれの専門分野で活躍しました。

栄典

戸水は、1899年に正六位、1910年には従四位、また1903年には勲六等瑞宝章を受章するなど、その業績が評価されています。

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