射場本忠彦

射場本 忠彦（いばもと ただひこ）は、1947年12月15日に鹿児島県鹿児島市で生を受けた、日本の建築環境工学および建築設備を専門とする工学者である。北海道大学名誉教授であった射場本勘市郎氏を父に持つ。

学問の道は、1972年に北海道大学工学部衛生工学科で学びを終えたことに始まる。その後、東京大学大学院工学系研究科の建築学専門課程へ進み、博士課程を修了した1977年には工学博士号を授与された。専門分野は建築環境工学および建築設備である。

博士課程修了後、東京大学で研究生として研鑽を積んだ後、指導教官の推薦を得て1979年に東京電力株式会社に入社。翌1980年からは同社の技術開発研究所にて研究業務に従事した。

1984年、東京電機大学へ籍を移し、工学部建築学科の講師として教育者としてのキャリアをスタートさせた。1986年には助教授、1991年には教授へと昇任し、長きにわたり建築環境工学・建築設備分野の研究・教育を牽引した。

大学においては、教育・研究活動に加え、様々な要職を歴任し、大学運営にも深く関与した。1997年には学生部長として学生生活の充実に努め、2000年には建設技術研究所長として研究施設の発展に貢献。2002年には工学部第一部長および学校法人東京電機大学の理事に就任し、学部の運営や法人全体の意思決定に関わるようになった。

その活躍は大学内に留まらず、2004年には北海道大学大学院工学研究科の客員教授を務めるなど、他大学とも連携した。また、専門分野の国際的な発展にも尽力し、2006年には国際エネルギー機関（IEA）の蓄熱実施協定執行委員会において日本代表を務めた。

東京電機大学においては、2007年に未来科学部建築学科教授となり、教育改革にも携わった。学校法人理事として、2008年には神田再開発建設本部長として校舎建て替えなどのプロジェクトを推進し、再び建設技術研究所長も兼任。同年には、建築設備分野における主要な学会である空気調和・衛生工学会の第82期会長に就任し、学会の発展に貢献した。さらに、2009年には東京都庁舎の設備更新仕様等に関する検討委員会委員長を務めるなど、社会的な貢献も行った。

学校法人の常務理事としては、2010年に新キャンパス創設本部長、2013年には東京千住キャンパス建設本部長として、大学の重要な基盤整備事業を主導し、キャンパス移転・整備という大きな変革を実現させた。この間、2011年には空気調和・衛生工学会より井上宇市賞を受賞している。

その他、2016年にはNHK放送センターの建替工事に関する技術審査委員会委員を務めるなど、専門知識を活かして社会の重要なインフラ整備に関与した。2018年には長年の功績が認められ、東京電機大学名誉教授の称号を授与された。そして、2019年には東京電機大学の第10代学長に就任し、大学の舵取りを担った。

射場本忠彦氏は、教育者、研究者として建築環境工学・建築設備分野の発展に寄与するとともに、大学の要職を歴任し、特にキャンパス整備においては陣頭指揮を執るなど、東京電機大学の改革と充実に多大な功績を残した人物である。

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