射鵰英雄伝 (2003年のテレビドラマ)

『射鵰英雄伝』のドラマ化

『射鵰英雄伝』は、著名な武侠作家・金庸の作品を基本にし、中国の文聯音像出版社が制作したテレビドラマです。この作品は2003年に放送され、全42話から成っています。金庸の原作は多くの映画やドラマに取り上げられてきましたが、そのほとんどは原作から大きく改変されてきました。特に中華圏では原作のストーリーやキャラクターの詳細があまりに知名度が高く、忠実に作ると視聴者にとって面白さが欠けてしまうと考えられているからです。結果として、多くの改編作品が生まれましたが、金庸はこれに対して不満を抱いていました。たとえば、中央電視台が2001年に制作した『笑傲江湖』では、キャラクターの描写が異なる点に対し、金庸が激怒した事例もあります。

中央電視台は『射鵰英雄伝』の制作権を金庸から取得しながらも、これまでの悪評を反省し辞退しようとしていました。しかし、改作権の有効期限が2年で譲渡が不可能だったため、最終的には中国文聯音像出版社が資金提供を行い、制作を担当することとなりました。制作のプロデューサーであるジャン・ジージョンは、原作に忠実な作品にするという条件を金庸から承認され、制作を進めました。

本作は、制作費として8億円という異例の額が投じられました。撮影は中国各地で行われ、特にモンゴル地方や北京、天津、浙江、桃花島などの美しい自然の中でデジタル撮影が実施されました。モンゴルの広大な平原や桃の花が咲き乱れる島々、水辺にそびえる荘厳な屋敷など、目を見張る映像美が表現されました。さらには、オリジナル衣装の制作にも5000万円以上が費やされ、細部にまでこだわった制作がなされました。

その結果、『射鵰英雄伝』は中華圏での視聴率No.1を記録するヒット作品となりました。プロデューサーのジャン・ジージョンは、この成功を受けて『天龍八部』や『神鵰侠侶』、『碧血剣』など、金庸の他の作品に対する製作を続けることになります。

このドラマの主なキャストには、リー・ヤーポン（李亞鵬）が郭靖役を、ジョウ・シュン（周迅）が黄蓉役を演じるなど、多彩な俳優陣が名を連ねています。特に、リー・ヤーポンは以前に『笑傲江湖』で主役の令狐冲を演じた実績があり、本作でも存在感のある演技を見せました。

キャストには他にも、楊康役を演じるジョウ・ジエ（周杰）や、穆念慈役のジアン・チンチン（蔣勤勤）など、多くの実力派俳優が集結しています。吹き替え声優も豪華で、郭靖は川島得愛、黄蓉は甲斐田裕子が担当しています。

また、作品の制作スタッフには、原作の金庸を始め、プロデューサーのジャン・ジージョンや監督のジュ・ジエンリァン（鞠覚亮）、音楽を手がけたチャオ・リン（趙麟）などが名を連ねています。オープニングテーマやエンディングテーマも心に残る楽曲が多く、視聴者に愛される要因となりました。

この作品は日本でも人気を博し、2005年にはチャンネルNECOで放送され、2004年にはDVDもリリースされました。『射鵰英雄伝』は、その魅力的な物語と美しい映像美により、武侠ドラマの金字塔とも言える地位を確立しています。

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