尊子内親王

尊子内親王の生涯

尊子内親王（そんしないしんのう）は、966年に生まれ、985年に20歳という若さでこの世を去った、第63代冷泉天皇の第2皇女です。母は女御・藤原懐子であり、彼女は賀茂斎院として知られた存在でもありました。尊子内親王には同母弟の花山天皇という兄弟がいます。

経歴を追って

康保4年（967年）、尊子内親王は父・冷泉天皇の即位に伴い、内親王としての宣下を受けました。その翌年には、斎院に選ばれ、その12月には初めて斎院に入所します。天禄元年（970年）には紫野斎院に移り、他の多くの女性たちとともに宮中にいる中、厳しい環境の中でもその立場を全うしました。

しかし、天延3年（975年）に母親が亡くなると、尊子内親王は退下を余儀なくされました。貞元3年（978年）には四品に叙され、その後も宮中での地位を保ち続けました。しかし、その後の天元3年（980年）には叔父・円融天皇の勧めにより再度入内し、短いながらも重要な役割を果たしました。

不運の連続

内親王は、入内直後に発生した大火に襲われ、その影響から「火の宮」というあだ名が付けられることになります。高貴な生まれでありながら、家族の早世により外戚からの頼れる後見人を失ったことは、彼女の人生に重くのしかかりました。

円融天皇は尊子内親王を特に可愛がったものの、彼女の唯一の頼みの綱であった叔父・藤原光昭が亡くなると、内親王は悲しみに暮れ、内裏を離れ落飾を決意することになります。この一連の出来事は、彼女にとって大きな試練となりました。

晩年と評価

永観3年（985年）4月、尊子内親王は受戒を経て、同年5月にこの世を去ります。彼女の短い生涯は、当時の人々に強い印象を与えました。『栄花物語』も述べる通り、尊子内親王は「いみじう美しげに光るやう」な姫宮であったと言われており、その美しさは人々の記憶に刻まれました。

亡くなる際には、漢学者・源為憲が尊子内親王のために『三宝絵』を著し、また慶滋保胤がその四十九日の供養のための願文を自筆で記しました。彼女が若くして出家したことは、慎ましやかで人柄のよい内親王であったことを物語っています。尊子内親王の人生は多くの困難に満ちていましたが、その中でも彼女の高貴さと優しさは多くの人々に愛され続けています。

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