小倉利丸

小倉利丸（おぐら としまる）は、1951年生まれの日本の経済学者です。現代資本主義論、情報資本主義論を専門とし、富山大学の名誉教授を務めています。東京都出身。

経歴と人物

法政大学経済学部経済学科を卒業後、東京大学大学院経済学研究科博士課程を単位取得退学しました。その後、富山大学経済学部助教授を経て、2005年に教授に就任しました。

小倉利丸の研究は、資本主義のグローバル化や、反テロ戦争下における監視社会に対する批判的な視点を特徴としています。特に、民衆の安全保障という観点から、現代社会における様々な問題点を深く掘り下げています。彼の研究は、現代社会が抱える構造的な問題に対する深い洞察を提供しており、社会変革への意識を高める上で重要な役割を果たしています。

研究テーマ

小倉利丸は、資本主義のグローバル化がもたらす影響、特にそれが監視社会の形成にどのように関わっているのかについて、詳細な研究を行っています。また、情報技術の発達が資本主義に与える影響、およびそれに対する批判的な視点の必要性についても、積極的に提唱しています。さらに、民衆の安全保障という観点から、国家による監視の強化が個人の自由やプライバシーに与える影響を分析しています。これらの研究を通じて、小倉は、現代社会における権力構造や、それに対抗するための社会運動の可能性について考察しています。

著作活動

小倉利丸は、多数の著作を通じて、自身の研究成果を社会に発信しています。その著作は、現代資本主義や監視社会に対する批判的な視点を提供するとともに、社会変革のための具体的な方向性を示唆しています。以下に、代表的な著作をいくつか挙げます。

『支配の「経済学」』（れんが書房新社、1985年）
『ネットワーク支配解体の戦略』（影書房、1986年）
『宗教・オカルテイズム批判』（青弓社、1989年）
『搾取される身体性 労働神話からの離脱』（青弓社、1990年）
『アシッド・キャピタリズム』（青弓社、1992年）
『カルチャー・クラッシュ 制度の壁に挑む文化のアクティビスト』（社会評論社、1994年）
『エシュロン 暴かれた全世界盗聴網 欧州議会最終報告書の深層』（七つ森書館、2000年）
『路上に自由を 監視カメラ徹底批判』（インパクト出版会、2003年）
『グローバル化と監視警察国家への抵抗 戦時電子政府の検証と批判』（樹花舎、2005年）
『多様性の全体主義・民主主義の残酷 9・11以降のナショナリズム』（インパクト出版会、2005年）
『抵抗の主体とその思想』（インパクト出版会、2010年）

これらの著作は、現代社会の構造的な問題点を明確にし、読者に深く考える機会を提供します。また、社会運動に関わる人々にとっては、理論的な支えとなるでしょう。

共著、編著、翻訳

小倉利丸は、単著だけでなく、他の研究者との共同研究や、海外の書籍の翻訳にも積極的に取り組んでいます。これにより、多様な視点を取り入れた学術活動を展開しています。共著には『精神分析』、『音の力』、『東アジア・交錯するナショナリズム』などがあります。編著には『イメージとしての帝国主義』、『働く / 働かない / フェミニズム 家事労働と賃労働の呪縛?!』、『労働・消費・社会運動』、『市民運動のためのインターネット - 民衆的ネットワークの理論と活用法』、『監視社会とプライバシー』、『世界のプライバシー権運動と監視社会 : 住基ネット、IDカード、監視カメラ、指紋押捺に対抗するために』、『危ないぞ! 共謀罪』などがあります。また、『ポスト・サーヴィス社会 - 崩壊する高度技術社会の神話』、『「芸術」からの解放 アール・ソシオロジックとはなにか?』、『転覆の政治学 - 21世紀へ向けての宣言』、『Banksy's Bristol : HOME SWEET HOME : The unofficial guide』などの翻訳も行っています。

外部リンク

小倉利丸は、自身の研究活動をブログやウェブサイトを通じて積極的に発信しています。これにより、より多くの人々に自身の考えを広め、社会的な議論を喚起することを目的としています。

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