小倉寛太郎

小倉寛太郎の生涯と業績

小倉寛太郎（おぐら ひろたろう、1930年 - 2002年）は、日本航空の労働組合委員長として知られる著名な労働運動家です。さらに、彼は山崎豊子の小説『沈まぬ太陽』の主人公・恩地元のモデルとされ、その生涯は多くの人々に影響を与えました。

早年期

小倉は、1930年に台北州台北市で生まれました。少年時代を湘南中学校で過ごし、戦後の混乱期には校長や教頭への辞職を求めるストライキを経験します。この活動が彼の労働運動への道を開いたのです。その後、東京大学法学部に進学し、同大学の教養学部の大学祭である駒場祭の設立に関与しました。大学生活は自治会活動に没頭し、特にレッドパージ反対のストライキを通して学生運動にも参加しました。

労働運動の始まり

大学卒業後、小倉はAIU（後のAIG損害保険）に勤務しますが、労働条件の改善を求めるために自身が所属する労働組合を結成し役員に就任しました。しかし、会社の組織が変わる中、彼は退職を余儀なくされます。その後、日本航空に入社し、労働組合の委員長に就任しました。

日本航空での活動

1960年代前半、小倉は日本航空の労働条件改善に躍起になりました。当時労働者は低賃金で過酷な状況に置かれており、彼は賃上げを求めて経営陣と対立し、日本航空初のストライキを主導しました。その中でも特に有名なのは、皇太子のフィリピン訪問中に発生したストライキです。この活動により、彼は労働者の権利を草の根レベルで支える存在として知られるようになります。

しかし、その活動の結果、会社からの報復人事に遭い、約10年間もの間、海外勤務地に配置されることになりました。カラチ、テヘラン、ナイロビなどでの勤務を経て、1971年にはケニア政府公認プロハンターの資格を取得します。この間、民間交流などにも尽力しましたが、国会による長年の僻地勤務の指摘を受け、再び国内勤務に戻されました。

日本航空でのさらなるキャリア

1985年、日本航空123便墜落事故の後、小倉は会長室部長に就任し、新体制のもとで社内改革に取り組みました。その後、再びアフリカへ勤務し続け、1990年にアフリカ調査開発部長として定年退職を迎えます。定年後は彼の豊富な経験を活かし、アフリカ研究家、動物写真家、随筆家として活動しました。

サバンナクラブの設立や著作

1976年、小倉は自然と人を愛する仲間たちと共に「サバンナクラブ」を設立し、事務局長を務めました。これは、アフリカの自然や文化を愛する同好の士の集まりであり、彼自身の研究活動の基盤ともなりました。また、彼は多くの著書を執筆し、アフリカの生態系や野生動物についての理解を深めながら広く読者に伝える役割を果たしました。

著書には『フィールドガイド・アフリカ野生動物』や『東アフリカの鳥』などがあり、多くの読者に愛されています。

最期と遺産

小倉寛太郎は2002年、肺癌により72歳でこの世を去りました。彼の生涯は労働運動やアフリカ研究の分野で多大な影響を与え続けており、彼の業績は今なお新しい世代に受け継がれています。

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