小倉正三

小倉正三（おぐら まさぞう）は、1947年3月8日に徳島県で生まれました。東京大学を卒業後、1973年に司法修習生となり、1975年に神戸地方裁判所判事補として裁判官のキャリアをスタートさせました。

その後、神戸家庭裁判所、広島地方・家庭裁判所福山支部など、各地の裁判所で判事補を歴任し、1981年には千葉地方裁判所判事補、1984年には鹿児島地方・家庭裁判所名瀬支部判事補として勤務しました。1986年には東京地方裁判所判事となり、1989年には釧路地方・家庭裁判所部総括判事、1991年には最高裁判所調査官を務めました。

1995年からは大阪高等裁判所判事、1997年には大阪地方裁判所部総括判事として勤務し、1999年には東京地方裁判所部総括判事（刑事12部）に就任しました。その後、横浜地方裁判所部総括判事、金沢地方裁判所所長を経て、2008年には大阪高等裁判所部総括判事（第5刑事部）、2010年には東京高等裁判所部総括判事（第9刑事部）を務めました。2012年3月8日に定年退官し、弁護士として第二東京弁護士会に所属し、赤坂小倉法律事務所で活動を開始しました。

小倉正三が担当した裁判の中でも特に注目を集めたのは、以下の3つの事件です。

オレンジ共済組合事件: 2000年3月23日、小倉裁判長は、友部達夫参議院議員に対し、求刑通り懲役10年の実刑判決を言い渡しました。
Winny事件: 2009年10月8日、小倉裁判長は、ファイル共有ソフト「Winny」の開発者である金子勇被告に対し、一審の有罪判決を破棄し、逆転無罪判決を言い渡しました。この判決は、著作権侵害と技術開発の自由という、複雑な問題を提起し、社会的に大きな議論を呼びました。
* 裁判員裁判における一審判決の破棄: 2010年7月14日、小倉裁判長は、身分証を盗まれたと思い込んで知人を殺害した事件において、裁判員裁判の判決の事実認定に誤りがあるとして、一審判決を破棄しました。この判決は、裁判員裁判制度導入後、事実認定の不備を理由として一審判決が破棄された初の事例であり、裁判員裁判における事実認定の難しさを改めて浮き彫りにしました。

これらの裁判を通じて、小倉正三は、刑事事件における事実認定の重要性や、裁判官としての責任を強く社会に示しました。2017年11月には、長年の司法への貢献が認められ、瑞宝重光章を受章しました。小倉正三は、裁判官としての豊富な経験と、弁護士としての新たな視点を活かし、現在も法曹界で活躍しています。

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