小倉清三郎

小倉清三郎の生涯と業績

小倉清三郎（1882年2月28日 - 1941年1月14日）は、日本の性科学者であり、社会運動家として大正時代に重要な役割を果たしました。彼は性に関する研究を進めるために「相対会」を設立し、機関誌『相対』を発行しました。この雑誌は当時の性に関するさまざまな議論や体験談を掲載し、書籍の出版などにも関与しました。

略歴

小倉は福島県須賀川市に生まれ、その後、国民英学会で英語を学びました。彼の同級生には辻潤がおり、彼との交流があったことが知られています。清三郎はキリスト教に強く影響を受け、熱心なクリスチャンとなりましたが、肉欲との葛藤によって性の研究に興味を持ちました。26歳で東京帝国大学に入学し、イギリスの性科学者ハヴロック・エリスの著作を通じて性科学の深い探究を始めます。

29歳の時、彼は「相対会」を設立し、1913年に『相対会第一組合小倉清三郎研究報告』を発行しました。『相対』という機関誌の発行により、読者からの性体験談を集め、性に関する知識の普及を目指しました。会費は年3円で、会員には毎月機関誌が送られ、文化人や著名な作家たちが多く参加していました。具体的には坪内逍遥、芥川竜之介、大杉栄、金子光晴、平塚雷鳥、伊藤野枝などが名を連ねています。

1922年には、「手淫」という言葉の代替として「自慰」という新しい用語を考案し、広く利用することを提唱しました。彼はまた、阿部定の研究にも取り組み、性に関する知識をさらに深める努力を続けました。残念ながら、彼は1941年に脳溢血で急逝し、58歳での死を迎えました。

死後の影響

清三郎が亡くなった後、彼の妻である小倉ミチヨ（1894年 - 1967年）が、雑誌の発行を引き継ぎました。彼女は自身の体験や他の人々の赤裸々な性体験を綴り、雑誌は官憲からの弾圧を受けながらも1944年まで刊行されました。このように、小倉清三郎の影響は彼の死後も続き、戦後になってから『相対会研究報告』全三十四巻にまとめられ、復刻版も出版されています。

参考文献とリンク

彼の活動は今でも注目されており、いくつかの著作も存在します。たとえば『小倉ミチヨ・相対会研究報告』（ちくま文庫、1999年）や『相対レポート・セレクション』（河出文庫、1999年）などがあります。さらに、彼の書籍である『両性の能力』（以文館、1914年）や、平塚らいてうによる「性的生活と婦人問題」を題材にした作品もあります。

このように、小倉清三郎の業績は日本の性科学の発展に大きな影響を与え、それに関する議論を促進しました。彼の言葉や視点は、今後の性に関する研究にも影響を与え続けることが期待されます。

もう一度検索