小僧寿し
株式会社小僧寿しは、主に持ち帰り寿し専門店のチェーンを展開する日本の企業です。2024年7月1日には持株会社体制へ移行し、初代の株式会社小僧寿しはKOZOホールディングス株式会社に商号を変更、事業は新たに設立された株式会社小僧寿し（2代）が引き継いでいます。現在は、主力である持ち帰り寿し事業に加え、デリバリー、外食、スーパーなど幅広い事業を手掛けています。
小僧寿しのルーツは、1964年に設立された「スーパー寿司・鮨桝」に遡ります。1968年にはフランチャイズシステムを導入し、全国各地へと店舗網を拡大、海外にも進出を果たしました。持ち帰り寿司という新しいスタイルが消費者に支持され、企業は目覚ましい成長を遂げます。特に1970年代にはその勢いは加速し、1979年には年商531億円を達成し、日本の外食産業においてトップの座を獲得するまでに至りました。絶頂期を迎えた1987年には、直営店とフランチャイズ加盟店を合わせて約2300店舗を展開。1991年にはチェーン全体の年間売上高が1000億円を突破するなど、持ち帰り寿司市場を牽引する存在となりました。
しかし、1990年代に入ると市場環境は大きく変化します。安価でエンターテインメント性も備えた回転寿司チェーンが台頭し、さらにスーパーマーケットや百貨店でも寿司の販売が強化されるようになりました。小僧寿しは持ち帰り寿司というビジネスモデルを堅持しましたが、価格競争や利便性の面で後塵を拝する場面が増えていきます。2000年代以降、回転寿司大手との競合が激化する中で売上は徐々に減少。1991年に1000億円を超えていた売上高は、2011年には約200億円、2015年には約60億円と激減し、かつての16分の1以下となりました。多くの同業他社が駅前やショッピングセンターなど、利便性の高い立地への出店を進める中、小僧寿しが住宅街への出店にこだわり続けたことも、変化への対応を遅らせた一因と指摘されています。この時期、企業は慢性的な赤字経営に陥り、苦境に立たされます。
業績不振から脱却するため、小僧寿しは様々な施策を講じました。2014年には不採算店の大量閉鎖や、一部店舗をラーメン店へ業態転換する計画を発表しますが、ラーメン事業は短期間で撤退を余儀なくされます。その後も赤字経営は続き、2010年12月期から10期連続で赤字決算となりました。2018年には買収したデリバリー事業会社の影響もあり、10億円を超える債務超過に陥り、継続企業の前提に関する注記が付され、株式の上場廃止猶予期間入りが決定されるなど、経営危機は深刻化しました。これに対し、小僧寿しは既存店舗のリブランド化や、宅配専門店への転換を進めるなど経営改善に努め、2019年12月期には連結ベースでの債務超過を解消しました。さらに、2018年に出前館、2020年にはUberEatsなどとの提携によりデリバリー体制を強化したことが奏功します。新型コロナウイルス感染症拡大に伴う「巣ごもり需要」を取り込む形でデリバリー事業が成長し、企業全体の業績を押し上げました。その結果、2020年12月期には黒字化を達成し、2021年2月には債務超過からも脱出し、上場廃止のリスクを回避しました。一方で、持ち帰り寿司事業自体は依然として厳しい状況が続いています。
現在の小僧寿しグループは、主力の「小僧寿し」ブランドでの持ち帰り寿司事業に加え、積極的なM&Aを通じて事業の多角化を進めています。持ち帰り・宅配寿司の「茶月」、デリバリーサービスの「デリズ」、鶏料理を中心とした居酒屋チェーン「とり鉄」や「とりでん」、肉鍋や蕎麦を提供する「かぐらや」、焼き鳥・餃子居酒屋の「小鉄屋」といった外食事業、さらには食品スーパーの「だいまるストア」、カレー・イタリアンレストランなどもグループ傘下に収めています。こうした事業ポートフォリオの拡大により、単なる持ち帰り寿司チェーンから、食関連の幅広い分野をカバーする企業グループへと変貌を遂げています。
小僧寿しはかつて、関西スーパーマーケットやイズミ、丸和などの有力な地域企業ともフランチャイズ契約を結んでいましたが、提携解消や相手企業の経営状況の変化により、これらの関係は終了しています。広告活動としては、テレビ草創期から積極的にCMを展開し、「ドラえもん」や人気バラエティ番組のスポンサーとなるなど、メディアへの露出も多くありました。CMには井上順、中村敦夫、大山のぶ代など著名人が多数起用されました。社名の「小僧寿し」は、志賀直哉の小説『小僧の神様』に由来するとされています。また、かつてコンビニエンスストアと併設された特徴的な店舗も存在しました。
2024年7月1日付で持株会社体制へ移行したKOZOホールディングスグループは、主力事業の再構築とM&Aによる事業拡大を通じて、企業基盤の強化を図っています。
創業から全盛期
小僧寿しのルーツは、1964年に設立された「スーパー寿司・鮨桝」に遡ります。1968年にはフランチャイズシステムを導入し、全国各地へと店舗網を拡大、海外にも進出を果たしました。持ち帰り寿司という新しいスタイルが消費者に支持され、企業は目覚ましい成長を遂げます。特に1970年代にはその勢いは加速し、1979年には年商531億円を達成し、日本の外食産業においてトップの座を獲得するまでに至りました。絶頂期を迎えた1987年には、直営店とフランチャイズ加盟店を合わせて約2300店舗を展開。1991年にはチェーン全体の年間売上高が1000億円を突破するなど、持ち帰り寿司市場を牽引する存在となりました。
競争激化と衰退
しかし、1990年代に入ると市場環境は大きく変化します。安価でエンターテインメント性も備えた回転寿司チェーンが台頭し、さらにスーパーマーケットや百貨店でも寿司の販売が強化されるようになりました。小僧寿しは持ち帰り寿司というビジネスモデルを堅持しましたが、価格競争や利便性の面で後塵を拝する場面が増えていきます。2000年代以降、回転寿司大手との競合が激化する中で売上は徐々に減少。1991年に1000億円を超えていた売上高は、2011年には約200億円、2015年には約60億円と激減し、かつての16分の1以下となりました。多くの同業他社が駅前やショッピングセンターなど、利便性の高い立地への出店を進める中、小僧寿しが住宅街への出店にこだわり続けたことも、変化への対応を遅らせた一因と指摘されています。この時期、企業は慢性的な赤字経営に陥り、苦境に立たされます。
再建への取り組み
業績不振から脱却するため、小僧寿しは様々な施策を講じました。2014年には不採算店の大量閉鎖や、一部店舗をラーメン店へ業態転換する計画を発表しますが、ラーメン事業は短期間で撤退を余儀なくされます。その後も赤字経営は続き、2010年12月期から10期連続で赤字決算となりました。2018年には買収したデリバリー事業会社の影響もあり、10億円を超える債務超過に陥り、継続企業の前提に関する注記が付され、株式の上場廃止猶予期間入りが決定されるなど、経営危機は深刻化しました。これに対し、小僧寿しは既存店舗のリブランド化や、宅配専門店への転換を進めるなど経営改善に努め、2019年12月期には連結ベースでの債務超過を解消しました。さらに、2018年に出前館、2020年にはUberEatsなどとの提携によりデリバリー体制を強化したことが奏功します。新型コロナウイルス感染症拡大に伴う「巣ごもり需要」を取り込む形でデリバリー事業が成長し、企業全体の業績を押し上げました。その結果、2020年12月期には黒字化を達成し、2021年2月には債務超過からも脱出し、上場廃止のリスクを回避しました。一方で、持ち帰り寿司事業自体は依然として厳しい状況が続いています。
現在の事業と多様化
現在の小僧寿しグループは、主力の「小僧寿し」ブランドでの持ち帰り寿司事業に加え、積極的なM&Aを通じて事業の多角化を進めています。持ち帰り・宅配寿司の「茶月」、デリバリーサービスの「デリズ」、鶏料理を中心とした居酒屋チェーン「とり鉄」や「とりでん」、肉鍋や蕎麦を提供する「かぐらや」、焼き鳥・餃子居酒屋の「小鉄屋」といった外食事業、さらには食品スーパーの「だいまるストア」、カレー・イタリアンレストランなどもグループ傘下に収めています。こうした事業ポートフォリオの拡大により、単なる持ち帰り寿司チェーンから、食関連の幅広い分野をカバーする企業グループへと変貌を遂げています。
その他
小僧寿しはかつて、関西スーパーマーケットやイズミ、丸和などの有力な地域企業ともフランチャイズ契約を結んでいましたが、提携解消や相手企業の経営状況の変化により、これらの関係は終了しています。広告活動としては、テレビ草創期から積極的にCMを展開し、「ドラえもん」や人気バラエティ番組のスポンサーとなるなど、メディアへの露出も多くありました。CMには井上順、中村敦夫、大山のぶ代など著名人が多数起用されました。社名の「小僧寿し」は、志賀直哉の小説『小僧の神様』に由来するとされています。また、かつてコンビニエンスストアと併設された特徴的な店舗も存在しました。
2024年7月1日付で持株会社体制へ移行したKOZOホールディングスグループは、主力事業の再構築とM&Aによる事業拡大を通じて、企業基盤の強化を図っています。
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