小坂秀二

小坂秀二の生涯

小坂秀二は、1918年3月16日に東京府東京市本所区（現在の東京都墨田区）で生まれました。幼少期から相撲に親しみ、特に学生時代は双葉山の全盛期と重なり、相撲に深く魅了されました。東京高等歯科医学校を卒業後、歯科医としてキャリアをスタートさせます。

双葉山との出会い

歯科医学校時代、解剖学の卒業試験を控えた小坂は、双葉山の連勝が途絶えたというニュースに衝撃を受けます。試験当日、試験官の藤田恒太郎教授が相撲好きだったことから、試験時間のほとんどが双葉山に関する会話で費やされ、簡単な口頭試験だけで済んだという逸話が残っています。後年、このエピソードを双葉山本人に話したところ、「少しは人の役にも立ったんだ」と笑って応えたそうです。

戦時中の経験と相撲への情熱

太平洋戦争中、軍医として中国の陸軍病院に勤務した小坂ですが、特別休暇で帰国した際に観戦した1943年5月場所で、双葉山の完成された相撲に感銘を受け、生涯にわたって相撲を愛し続けることとなります。

アナウンサーとしての活躍

終戦後、小坂は相撲に関わる仕事がしたいとアナウンサーへの転身を決意し、1947年にNHKに入局します。面接では、「なぜアナウンサーになりたいのか」という問いに対し、「今まで他人の口で稼いできたので、これからは自分の口で稼ぎたい」と答えたといいます。

1952年には、ラジオ東京（後のTBS）に移籍し、草創期のスポーツ放送を支えました。大相撲中継では、解説者の天竜三郎との名コンビで人気を博しました。また、スポーツ以外にも、心臓病手術の実況やスバル座火災の現場からの中継など、多岐にわたる分野で活躍しました。

1961年にはボイス・オブ・アメリカ（VOA）に出向し、帰国後はTBSの編成局や報道局で要職を歴任し、1974年にアナウンサーを引退しました。

歯科医・相撲評論家としての活動

アナウンサー引退後、小坂は歯科医に復帰し、相撲評論家・著作家としても活動を開始しました。歯科医としては、診療所長を経て自宅に総合医事研究所を開設し、患者の悩み相談や医療関係者の意思疎通に尽力しました。

相撲評論家としては、双葉山を敬愛する立場から独自の視点で相撲を分析し、「柏鵬時代」という言葉を最初に提唱した人物としても知られています。著書や寄稿も多数あり、双葉山から若貴時代までの歴代横綱のほとんどと面識があったとされています。自身の相撲観は、双葉山の相撲を絶対視するもので、右四つ左上手を横綱のあるべき型として捉え、大鵬の相撲を批判することもありました。また、現役力士の土俵態度を厳しく評価し、横綱審議委員会不要論を唱えるなど、過激な論調も展開しました。

読売新聞社発行の雑誌『大相撲』では、場所後総評座談会の常連であり、『相撲探求』などの連載も担当しました。

その他の活動と晩年

小坂は、囲碁にも造詣が深く、囲碁に関する著書も執筆しています。また、翻訳家としても活動し、ゴルフに関する書籍の翻訳も手がけました。

2003年4月6日、胃がんのため東京都内の自宅で逝去しました。85歳でした。

主な出演番組

大相撲中継（NHK、KR/KRT/TBS）
プロ野球中継（NHK、TBSラジオ、TBSテレビ）
プロボクシング中継（KR/KRT/TBS）
メルボルンオリンピック中継
マイクは探る〜救われた小さな命〜
日本の素顔「神これを癒し給う―心臓外科手術の記録」
ニュースの目
スポーツの広場

著書

がちんこ相撲 だれが現代の双葉山か
栃若時代 二人の名力士にみる大相撲戦後昭和史
いい歯医者と悪い歯医者 歯医者だから見抜ける
我が回想の双葉山定次
貴ノ花 大関への軌跡
昭和の横綱
歯の治療悩みと不安相談実例集
大相撲ちょっといい話
横綱貴乃花光司 六十五人目
上手な初心者 パート2 囲碁の楽しさに魅せられたあなたに
伝説の名横綱双葉山 六十九連勝全記録
これならわかる囲碁入門
歯医者さん直伝!よい歯医者選びの新・常識

共著

大相撲もしもの名勝負百一番 激突!古今の名力士最強はだれ!?
話し上手になるための本 プロが語る

翻訳

パーマーは攻撃する

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