小室達

小室達と伊達政宗騎馬像：激動の時代を駆け抜けた彫刻家と不屈の武将

小室達（1899-1953）は、宮城県出身の彫刻家です。東京美術学校彫刻科を首席で卒業後、帝展で頭角を現し、日本美術界において確固たる地位を築きました。その代表作にして、日本の彫刻史において重要な位置を占めるのが、伊達政宗騎馬像です。

小室達の生涯：才能と時代の波

小室は明治32年、宮城県柴田郡に生まれました。白石中学校卒業後、東京美術学校に進学し、卓越した才能で周囲を魅了しました。卒業後は研究科に進み、研鑽を積みました。27歳の若さで帝展無鑑査となり、その地位は確固たるものとなりました。帝展での受賞歴も輝かしいものでした。

私生活では、杉並区永福町に自宅を構え、芸術家としての活動に励んでいました。しかし、昭和28年、肺結核のため53歳という若さでこの世を去りました。

伊達政宗騎馬像：制作から金属供出、そして復元へ

昭和8年、伊達政宗三百年祭を記念し、小室は伊達政宗騎馬像の制作を依頼されました。小室は、仙台藩祖・伊達政宗が仙台城に入城した姿を表現した騎馬像を制作、昭和10年、仙台城本丸に建立されました。

しかし、太平洋戦争下の金属類回収令により、昭和19年、騎馬像は供出され、その姿は消え去りました。戦後、郷土史家によって胸像の一部が回収され、胸像として保存されました。

高度経済成長期、騎馬像の復元が望まれるようになり、小室の地元に保管されていた石膏原型を用いて、昭和39年、復元された騎馬像が仙台城に再建されました。この復元された騎馬像は、現在も仙台城本丸に凛と立ち続けています。

各地に散らばる「伊達政宗」像

現在、伊達政宗騎馬像の原型試作品は竹駒神社馬事博物館に、初代騎馬像の金属供出されなかった胸像部分は仙臺緑彩館に、そして復元された二代目騎馬像は仙台城本丸にそれぞれ展示されています。それぞれの像には、小室達と伊達政宗、そして激動の時代が刻み込まれています。

初代騎馬像の胸像は、仙台市博物館中庭に長年展示されていましたが、青葉山公園整備事業に伴い、2023年4月に仙臺緑彩館に移転しました。また、二代目騎馬像は、2022年の地震で損傷を受けましたが、修復を経て再び仙台城にその雄姿を現しています。

小室達が残した足跡

小室達は、自身の優れた技術と芸術性を駆使して、時代を超えて愛される伊達政宗騎馬像を制作しました。その像は、仙台のシンボルとして、そして日本の彫刻史における重要な作品として、未来へと受け継がれていくでしょう。小室達の人生と作品は、日本の近代彫刻史において、重要な位置を占めていると言えるでしょう。彼の功績は、これからも多くの人々に記憶され、語り継がれていくことでしょう。

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