小山田高家

小山田高家：南北朝時代の武将

小山田高家（おやまだ たかいえ）は、生年不詳ながら建武3年（1336年）に没したとされる南北朝時代の武将です。秩父平氏の流れを汲む小山田氏の出身と見られています。高家は「隆家」とも記されることがあります。

小山田氏の興隆と衰退

小山田氏は、平重弘（秩父太郎大夫）の次男である有重を祖とする一族で、院政期から鎌倉時代にかけて勢力を拡大しました。有重の一族は、治承・寿永の乱を経て鎌倉幕府の有力御家人となりましたが、元久2年（1205年）の畠山重忠の乱によって没落しました。院政期には武蔵国の小山田荘や稲毛荘などを拠点としていましたが、鎌倉時代には甲斐国都留郡に進出したとされています。

鎌倉時代の小山田氏については、承久3年（1221年）の承久の乱において、幕府側の甲斐源氏である武田氏や小笠原氏が率いた東山道軍に「小山田太郎」の名が見られることから、この頃には甲斐国に居住していたと考えられます。

高家の事績と最期

その後の小山田氏の動向は不明な点が多いですが、南北朝時代には『太平記』に小山田高家に関する記述が見られます。特に、『太平記』巻十六「小山田太郎高家青麦を刈る事」には、高家が建武3年（1336年）までに新田義貞に従い、同年3月に播磨で兵糧不足のために刈田狼藉を行ったと記されています。この軍令違反により、高家は処罰されるはずでしたが、義貞によって赦免されました。

さらに、『太平記』巻十六「新田殿湊川合戦の事」によると、高家は同年5月25日の湊川の戦いで、義貞の身代わりとなって討ち死にしたとされています。ただし、高家の刈田狼藉に関する逸話は、『太平記』の古本には見られず、後世の加筆であるとの指摘もあります。

墓所と系譜

高家の墓所は、東京都町田市下小山田町にある大泉寺にあります。そこには、小山田有重、行重親子と共に三基の宝篋印塔が残されています。

南北朝時代の小山田氏については、高家の動向が唯一の記録とされています。室町・戦国時代には、甲斐都留郡を拠点とした国衆である郡内小山田氏が登場し、甲斐守護や戦国大名である武田氏の家臣団に組み込まれました。院政期から南北朝期の秩父平氏小山田氏と、室町・戦国期の郡内小山田氏との系譜的な関係は不明な点が多いです。一説には、南北朝期に平姓小山田氏が南朝に属して没落し、新たに北朝に属した郡内小山田氏が台頭したとされ、両者の血縁関係を慎重に見るべきだという見方もあります。

まとめ

小山田高家は、南北朝動乱期を生きた武将であり、その生涯は『太平記』によって一部が伝えられています。彼の属した小山田氏一族は、院政期から鎌倉時代にかけて武士団として台頭し、その後、南北朝時代には没落と再興を経験しました。高家の生涯は、中世武士の興亡の一側面を映し出しており、歴史研究において重要な存在です。

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