小山義政

小山 義政

小山 義政（おやま よしまさ）は、南北朝時代に下野国（現在の栃木県）を治めた武将であり、藤原秀郷を祖とする小山氏の第11代当主として小山城主を務めました。彼は特に、鎌倉公方との抗争である「小山義政の乱」で歴史にその名を残しています。

生涯

義政は室町幕府の成立に貢献した武将の一人です。新田義宗の討伐に参加するなど幕府への忠誠を示し、その功によって下野国守護に任じられるなど、小山氏の勢力を大きく拡大し、その全盛期を築き上げました。

しかし、当時の下野国は宇都宮氏や那須氏といった有力豪族が割拠する複雑な地域でした。特に宇都宮氏はかつての守護家であり、小山氏とは家格や勢力において互いに拮抗していました。義政の守護任官とそれに伴う勢力拡大は、宇都宮氏との間に地域支配を巡る激しい対立を生じさせました。

康暦二年（1380年）、両者の対立はついに武力衝突へと発展します。下野国裳原（現在の栃木県小山市）で起こった「裳原の戦い」で、義政は宇都宮氏当主の宇都宮基綱を討ち取るという大きな勝利を収めました。

小山義政の乱

宇都宮基綱の討死は、関東地方の秩序維持にあたる鎌倉公方足利氏満の看過できない事態でした。氏満は直ちに小山氏追討を決定し、同年六月には鎌倉府によって追討軍が編成され、義政は攻撃を受けます。これが「小山義政の乱」の始まりです。義政は同年九月には一旦降伏しました。

しかし、義政の反抗は終わりませんでした。永徳元年（1381年）、彼は体勢を立て直し、下野国鷲城（現在の栃木県栃木市）を拠点に再び鎌倉公方に対し反乱を起こします。氏満はこれに対し、関東・南東北各地の武士団を集めた大規模な追討軍を差し向けました。義政の軍勢はこの追討軍に敗れ、彼は子の若犬丸に家督を譲って出家します。

それでも追討の手が迫ったためか、永徳二年（1382年）三月、義政は居城の祇園城（現在の栃木県小山市）に火を放ち、粕尾城（現在の栃木県鹿沼市）に籠城しました。氏満の追討軍は小山氏の各支城を次々と攻略しながら粕尾へと進軍しました。

そして永徳二年（1382年）四月十三日、ついに自身の立てこもる粕尾の赤石が原（現在の栃木県鹿沼市）で自害したと伝えられています。子の若犬丸はこれ以前に行方不明となりました。

乱の影響と小山氏のその後

義政の死後も小山氏の一部は抵抗を続けたようですが、義政から数えて二代後に嫡流は断絶したとされています。しかし、氏満は小山家の断絶を惜しみ、縁戚であった結城基光の次男を小山城主として家督を継承させ、家名は存続しました。

歴史的意義と後世の評価

小山義政の乱は、南朝・北朝の対立や皇室・公家の権威といった要素がほとんど絡まず、純粋に武家間の力関係と地域支配を巡る利害によって引き起こされた、日本史上初めての大規模な武力衝突の一つとされています。これは、武士が自立した地域の支配者として台頭していく時代の転換点を示す出来事でした。

また、2007年には、乱の戦闘地に近い小山市の遺構から将棋駒と見られる遺物が出土し、当時の文化の一端を示すものとして注目されました。大正13年（1924年）には、義政に対して正五位が追贈されています。

関連項目

• - 犬飼城
• - 小山氏
• - 宇都宮氏
• - 鎌倉公方
• - 足利氏満
• - 南北朝時代
• - 下野国

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