小峰義親

小峰義親：波乱の生涯を送った戦国武将

小峰義親（こみね よしちか）は、戦国時代から江戸時代初期にかけて活躍した武将・大名です。白河結城氏の家督を巡る激しい動乱の中で、その生涯を駆け抜けました。彼の生涯は、主君の追放、他家への服属、そして最終的には伊達氏への仕官と、まさに波乱に満ちたものでした。

生涯

1541年、小峰義親は誕生しました。白河結城氏の庶流である小峰氏を継ぎましたが、当時、白河結城氏は当主・結城晴綱の病により、勢力が衰退していました。義親は、この状況を利用し、次第に家中の実権を握るようになります。

1573年に晴綱が病死すると、その子である幼い義顕が家督を継ぎました。しかし、義親は後見人という立場を利用し、1575年に家老の和知美濃守と共謀して義顕を追放し、自らが白河結城氏の当主となりました。この謀反の背景には、義親自身の野心と、岳父である蘆名盛氏の唆しがあったとも言われていますが、真相は定かではありません。

その後、蘆名氏が二階堂氏や田村氏との争いで混乱すると、白河結城氏は佐竹氏からの侵攻を受け、佐竹氏の臣下として降伏しました。しかし、1577年に蘆名氏と田村氏が佐竹氏を攻めると、義親は再び白河家の実権を握り返しました。その後、佐竹氏との講和により、佐竹義重の次男である義広を養子に迎え、自らは入道して不説斎と号し、佐竹氏に恭順の意を示しました。これにより、白河結城氏の名跡は義広が継承することになりました。しかし、1587年に義広が蘆名氏を継ぐと、再び義親が白河結城氏の当主となりました。

義親は、その後も佐竹氏に従い、人取橋の戦いや郡山合戦などに従軍しました。しかし、1589年に蘆名氏が伊達氏に滅ぼされると、佐竹氏に見切りをつけ、伊達政宗に服属しました。1590年の小田原征伐では、政宗から参陣を止められていたため、政宗に託して豊臣秀吉に貢物を贈りましたが、秀吉からは参陣しなかったことを許されず、所領を没収され改易となりました。

その後、義親は所領回復を願い、会津の蒲生氏郷を頼りましたが、願いは叶わず諸国を放浪しました。しかし、1601年、伊達政宗に召し抱えられ、子孫は伊達一門に列せられ、仙台藩士として存続しました。義親には嫡子がいなかったため、弟・義名の子である白河義綱を養子としました。晩年は政宗に厚遇されたと伝えられています。

1619年、義親は79歳で家督を義綱に譲り隠居し、1626年に86歳でその生涯を閉じました。

出自

義親の出自については、結城顕頼の子という説と、結城晴綱の次男で嫡子であるという説があります。また、小峰氏を継いでいないという説もあり、家督簒奪ではなかった可能性も指摘されています。

近年、『白河市史』の編纂過程で、晴綱の死後に結城白河氏の当主となったのは、「結城隆綱」という人物であることが判明しました。この人物について、義親の初名であるという説が有力視されていますが、晴綱と義顕の間に位置づけ、義親の謀反によって白河を追放された当主とみる説もあります。

牛切丸の逸話

義親には、那須野ヶ原での鷹狩りの際に、牛を一刀両断したという逸話が残っています。義親が鷹狩りをしていた際、突然牛が現れて鳴き声を上げ、その音に驚いた鷹が逃げてしまったため、怒った義親が太刀で牛を一刀両断したとされています。この太刀は「牛切丸」と名付けられ、後に那須神社に奉納されました。牛切丸は、鎌倉時代中期の備前国一文字派の作と推定され、現在では県指定の有形文化財となっています。

関連作品

小峰義親を題材にした作品として、1987年のNHK大河ドラマ『独眼竜政宗』があります。このドラマでは、川久保潔が義親を演じました。


小峰義親は、激動の戦国時代を生き抜いた武将として、その名が歴史に刻まれています。彼の生涯は、権力闘争の激しさと、時代の変化に翻弄された人々の姿を映し出しています。

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