小川双々子

小川双々子（おがわ そうそうし、本名:小川二郎）は、1922年9月13日に岐阜県で生まれ、2006年1月17日に83歳でその生涯を閉じました。俳人としての活動が広く知られていますが、その人生は俳句のみならず、多岐にわたる分野で豊かな足跡を残しました。

1941年に俳句の世界に入り、「馬酔木」に所属。加藤かけいや山口誓子といった著名な俳人に師事し、俳句の基礎を磨きました。1953年には「天狼」賞を受賞し、1955年には「天狼」の同人となります。その後、1958年に俳誌「河口」を発行し、1963年には「地表」を創刊、主宰として活動しました。2005年には、長年の俳句活動が評価され、現代俳句協会の第5回「現代俳句大賞」を受賞しています。

経歴としては、瀧実業学校（現在の滝高等学校）を卒業後、住友本社に入社。1953年から1959年までの間、胸部疾患により療養生活を送ります。1959年にはカトリックの洗礼を受け、その後、名古屋の出版社である黎明書房に勤務し、定年まで勤め上げました。また、広島平和記念式典に参列したり、1984年には韓国カトリック200年記念式典にも参列するなど、宗教的な活動にも関心を寄せていました。

1988年には、アンカレッジを経由してローマ、アッシジ、バルセロナ、モンセラット、ルルドなどを巡礼しました。また、絵画制作にも情熱を注ぎ、1974年からは洋画展「幻展」を名古屋市で開催し、16回に及ぶ活動を続けました。俳句界においては、現代俳句協会の副会長、顧問、東海地区現代俳句協会会長、中部日本俳句作家会運営委員長など、数々の要職を歴任しました。

彼の俳句作品は多くの句集としてまとめられており、代表的なものとして『幹幹の声』（1962年）、『くろはらいそ』（1969年）、『命命鳥』（1970年）、『三千抄』（1974年）、『あゐゑ抄』（1975年）、『憂鬼帖』（1975年）、『囁囁記』（1982年）、『小川双々子全句集』（1990年）、『異韻稿』（1997年）、『荒韻帖』（2003年）などが挙げられます。これらの句集は、小川双々子の俳句に対する深い洞察力と、独自の表現世界を伝えています。

小川双々子の俳句は、日常の何気ない風景や出来事の中に、人間の普遍的な感情や自然の美しさを捉え、繊細かつ力強い言葉で表現しています。彼の作品は、現代俳句の世界において、重要な位置を占めています。また、俳句制作以外にも、絵画制作や宗教活動など、幅広い分野で才能を発揮し、多才な文化人としての一面も持ち合わせていました。

2006年1月17日、愛知県内の病院にて心不全のため、83歳で死去しました。彼の死は、俳句界にとって大きな損失となりましたが、その作品は今も多くの人々に愛され、読み継がれています。

もう一度検索