小暮得雄

小暮 得雄（こぐれ とくお、1932年12月17日 - 2009年11月15日）は、日本の著名な法学者であり、特に刑法の分野で卓越した業績を残しました。彼は北海道大学の名誉教授であり、また平成国際大学の名誉教授でもありました。法学博士として知られ、1961年に東京大学で「法益論の視角からみた違法性の本質」という学位論文を発表しました。東京都に生まれ育つ彼の背景には、戦時中や戦後を通じての激動の人生経験があり、これが彼が刑法を専研究する動機となったと考えられています。

人物背景

小暮は東京大学に在籍中、著名な法学者である団藤重光に師事しました。これにより、彼は法学の深い知識を身につけ、後の研究活動に大きな影響を与えました。さらに、彼は将棋にも精通しており、アマチュア5段の腕前を持っていました。学生時代には将棋大会で活躍し、1956年には全日本アマチュア名人戦の決勝まで進出したことでも知られています。彼の息子である小暮克洋も将棋界で有名な存在で、将棋の観戦記者として活動しています。

略歴

小暮は1955年に東京大学法学部を卒業した後、1961年に同大学院の博士課程を修了しました。1956年以降は北海道大学法学部で助教授として教壇に立ち、1968年には教授に昇進しました。さらに、1974年から1976年まで同学部の学部長を務め、その後1995年に北海道大学を定年退官し名誉教授となりました。その後も千葉大学法経学部教授や放送大学客員教授、平成国際大学法学部教授として教育の現場で多くの学生に指導を行いました。

彼はまた、北海道大学の評議員や大学院法学研究科長、日本学術会議の会員、さらには日本刑法学会の理事としても活躍しました。法務省では札幌刑務所と千葉刑務所の篤志面接委員としても勤務し、1997年から2001年まで司法試験考査委員としても活動しました。

著作

小暮の学問的業績としては、多くの著書があります。特に『刑法入門』（有斐閣）は1979年に初版が刊行され、その後第3版が1996年に発表されました。また、1983年に初版が出版された『教材刑法判例』（北海道大学出版会）も著名な作品です。他にも、竹下守夫との共著による『法と裁判』（放送大学教育振興会、1996年）や、自らの経験を元にした『いまを生きる』（近代文芸社、1997年）、『回想の学童疎開』（近代文芸社、1997年）などが挙げられます。

指導者として

小暮は多くの後進を育て上げ、その中には伊藤司（成蹊大学法科大学院教授）、伊藤博路（名城大学大学院法務研究科教授）、城下裕二（北海道大学大学院法学研究科教授）、中島広樹（平成国際大学法学部教授）、本間一也（新潟大学大学院実務法学研究科教授）などがいます。彼らは小暮の教えを受けた学生たちであり、現在も法学の分野で活躍しています。小暮得雄の業績と影響は今もなお、法学教育や研究の現場で生き続けています。

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