小杉一雄

小杉一雄

小杉一雄（こすぎ かずお、1908年6月4日 - 1998年10月22日）は、日本の美術史学者であり、早稲田大学の名誉教授でした。彼の専門は中国美術史でした。

経歴

小杉一雄は、洋画家であり、後に日本画を多く描いた小杉放庵の長男として、東京市本郷区千駄木町に生まれました。1927年に第一早稲田高等学院に入学し、その後は一貫して早稲田大学系列の学校に在籍しました。1929年には早稲田大学文学部史学科東洋史学専攻に入学し、大学院では父とも親交のあった会津八一の指導を受けました。

1945年、小杉は早稲田大学の講師となり、1949年には同大学文学部の教授に就任し、美術史を担当しました。同年設立された美術史学会では、発起人の一人として参加しました。1957年には、「中国美術史に於ける伝統の研究」で文学博士号を取得しました。この論文では、中国美術における文様史と仏教美術史が根幹となっていました。

1979年に小杉は定年退職し、早稲田大学名誉教授となりました。1980年には勲三等瑞宝章を受章し、1993年には紺綬褒章を受章しました。定年後も活発な研究活動を続け、多くの著作を著しました。また、絵師として各地を旅行し、画文集を自費出版しました。1998年、急性肺炎のため逝去しました。

2019年11月から2020年1月にかけて、早稲田大学會津八一記念博物館で『【企画展】藍より青く ―小杉一雄とその師父、會津八一と小杉放菴』が開催されました。

父である小杉放庵については、画文集の編纂を度々行いました。1992年には、放庵の故郷である日光市で進められていた「（仮称）小杉放菴記念日光美術館整備構想」に際し、1459点の美術関連資料を日光市へ寄贈しました。これを元に、小杉一雄が存命中の1997年10月に「小杉放菴記念日光美術館」が開館しました。

小杉一雄の長男である小杉正太郎も早稲田大学文学部教授（心理学専攻）であり、次男の小杉小二郎は洋画家です。また、弟の小杉二郎はインダストリアルデザイナーとして活躍しています。

著書

『アジア美術のあらまし』 福村書店 1952年
『中国文様史の研究 殷周時代爬虫文様展開の系譜』 新樹社 1959年
『日本の文様 起源と歴史』 社会思想社・教養デラックス 1969年／南雲堂 1988年11月
『中国の美術』 社会思想社・現代教養文庫 1974年
『中国仏教美術史の研究』 新樹社 1980年4月
『小杉一雄画文集』第一輯 自費出版 1985年
『中国美術史 日本美術の源流』 南雲堂 1986年5月
『小杉一雄画文集』第二輯 自費出版 1988年
『奈良美術の系譜』 平凡社 1993年6月

翻訳

呉承恩『西遊記』（全4巻）安藤更生共訳、富国出版社 1949年

関連項目

中国文様史
小杉放菴記念日光美術館

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