小村・ウェーバー協定

小村・ウェーバー協定

小村・ウェーバー協定は、1896年5月に当時の李氏朝鮮の首都、漢城府（現在のソウル）で締結された、日本帝国とロシア帝国との間の覚書です。この協定は、駐朝鮮日本公使の小村壽太郎とロシア公使カール・イバノビッチ・ヴェーバーによる調印から名付けられました。また、同様の文脈で小村・ウェーバー覚書や第1次日露議定書といった呼称でも知られています。

背景

協定が結ばれるに至った背景には、1895年10月に起きた閔妃殺害事件、いわゆる乙未事変があります。この事件に伴い、当時の公使三浦梧楼が事態の収拾を図るも、状況は難航しました。そこで、小村が新たに公使として派遣されました。彼は親日派の人物を朝鮮の要職に就け、さらに王宮の警備を再編成するなどしました。しかし、政治的な緊張は続き、11月28日には春生門事件という暗殺未遂事件が発生しました。この事件には親露派の関与が明らかになり、ロシアとアメリカの干渉が難しくなりました。

その後、1896年2月11日には高宗とその王太子がロシア公使館に保護されるという露館播遷が発生しました。この影響で、朝鮮国内でのイデオロギーが変化し、親日派の金弘集政権は苦境に立たされました。こうした状況の中、小村は日本の立場を強化し、日露間の緊張を和らげる必要がありました。

協定の締結

そのような中で、小村は1896年2月25日、ロシアのヴェーバー公使に対して国王の還宮を求めるとともに、日露共同の政治監督に関する提案を行いました。そして、1896年5月14日に漢城において小村とヴェーバーは共同で覚書に署名しました。

この協定は、日本とロシアが連携して朝鮮の内政に干渉し、またロシア公使館に滞在する朝鮮国王の帰還を実現するための条件を設けるものでした。具体的には、両国の軍隊の駐屯数や関連した詳細が取り決められました。この協定によって、両国は朝鮮に等しい数の兵力を駐留できるようになったのです。

協定の影響

小村はこの協定の締結が自身の大失態（露館播遷の実現）を補うものであることを理解していました。しかし、彼の外交的手腕は外務大臣陸奥宗光に高く評価され、すぐに外務次官に昇進することとなりました。日本はその後、朝鮮情勢においてロシア優位の状況を改善すべく、議会で陸軍の増設を決議するなどの動きを見せました。

結論

小村・ウェーバー協定は、日本とロシアの間での朝鮮に関するパワーバランスを示す重要な歴史的文書です。協定に基づき展開された両国の影響力は、その後の朝鮮半島の歴史に深い爪痕を残すことになります。

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