小林年参

小林年参について

小林年参（こばやし としかず、生没年不詳）は、明治時代に活動していた浮世絵師であり、編集者、出版家としても知られています。彼は三重県に生まれ、上京後に著名な浮世絵師・月岡芳年の弟子となりました。年参の作品は、浮世絵や挿絵が主で、西南戦争を題材にした戦争絵や日常生活を描いた風俗画など多岐にわたります。

来歴

年参の本名は栄成で、いくつかの号を持っていました。亭斎、進斎、日不見岡、進斎年参といった名義で作品を残しています。彼は明治7年（1874年）頃から月岡芳年の助手として関与し、明治19年（1886年）頃までは様々な作品を手掛けています。公的な記録では彼が居住していた場所として、京橋区銀座や猿楽町二丁目が挙げられます。

芳年が住んでいた浅草須賀町に住んでいた時期、彼は27名の弟子たちに宛てた書状を通じて自身の居住地を「神田区神保町　小林年参殿」と記しており、その存在が確認されています。年参の生年についての情報は少なく、彼の没年も明確ではありませんが、明治31年（1898年）に建立された月岡芳年の記念碑には「芳年社中故門人」の一人として年参の名前が掲載されています。これは年参がそれ以前に亡くなっていたことを示唆しています。

年参に関する研究では、進斎年光と同一人物である可能性も指摘されていますが、年光が年参と名乗る前には既に「年参」と記された作品が存在しており、同一視することは難しいと考えられています。

主な作品

小林年参が手掛けた作品は多岐にわたります。特に彼の挿絵作品には以下のようなものがあります。

• - 『鹿児島戦記』, 明治10年（1877年）刊行。これは岩崎茂実の編纂によるもので、全5号から成ります。
• - 『猛田姉妹新白石』初編, 明治13年（1880年）。柳水亭種清の作で、柳心堂から刊行されました。
• - 『春風情話』, スコット著作で橘顕三が翻訳したもので、明治13年に中島精一から出版されました。
• - 『異国奇談　和荘兵衛』, 明治17年（1884年）に東京稗史出版社から刊行された前後編の作品。

彼の錦絵についても評価が高く、以下の作品がその一例です。

• - 「徳川十五代記略　九代将軍清水邸の新築御遊覧の図」, 明治8年（1875年）に万屋孫兵衛から発行された中判作品。
• - 「徳川十五代記略　米使ペルリ家定公を拝謁の図」, 同様に万屋孫兵衛版です。
• - 「うきよはんじよう穴さがし」, 明治10年に林吉蔵からの大判3枚続きの作品。
• - 「西国征討新誌」, 明治10年に出版され、大判の3枚続きです。
• - 「元治夢物語」, 東京大学史料編纂所所蔵のもので、明治11年に井澤菊太郎から出版された大判3枚続きの作品。

彼の作品は、浮世絵の歴史において重要な役割を果たしており、近年の研究でも注目されています。小林年参は、浮世絵だけでなく日本の出版文化に多大な影響を与えた人物として評価されています。

もう一度検索