小森沢長政

小森沢長政について

小森沢長政（こもりさわ ながまさ、1843年 - 1917年）は、幕末期の米沢藩士であり、明治時代において重要な役割を果たした海軍法務官である。彼は初期の海軍制度の確立に尽力し、海軍省法務部長にまで昇進した輝かしい経歴を持つ。また、地元米沢の若者たちを海軍に勧誘したことから、彼自身が「米沢海軍の祖」と称されることもある。さらに、米沢有為会の第二代会長を務めていた。

来歴

小森沢の幼少期、旧名は宮島琢蔵であった。父は米沢藩の右筆であった宮島吉利で、兄は宮島誠一郎であった。明治維新の後、彼は米沢藩の少属となり、兵部省海軍所の文官として採用された。海軍省が設立されると、彼は海軍大録に任命された。小森沢が海軍に入るきっかけとして、兄と親しい関係にあった勝海舟の影響が指摘されている。

さらに、彼は海軍大臣として長く勤めた西郷従道と知己を得たことで、1877年には太政官権大書記官に就任し、その翌年には海軍大書記官を兼務することとなった。その後、1889年には第一局軍法課長に就任した。彼は海軍刑法や海軍治罪法の改正案の調査委員や、千島艦事件の調査委員など多くの重要な役職を歴任し、日清戦争中には新聞や雑誌の臨時検閲委員長を務めた。最終的に海軍省法務部長として退官し、高等官二等に昇任した。

人物像

小森沢は、出身地の米沢が位置する地域が海に面していないにも関わらず、有望な海軍人材を輩出してきたことに注目し、「米沢の海軍」と称される背景を持っている。彼は、米沢出身の人々が海軍に進むことを強く望み、地域の関係者を説得。また、自らも地元で学生を募集し、彼らが海軍兵学校に入学する手助けを行った。これにより、多くの若者が海軍に進む道を切り開くことができた。

特に、彼が山下源太郎（宮島誠一郎の娘婿）が海軍に入る際の保証人を務めたことからも、海軍を目指す人々の支援に尽力していたことがわかる。小森沢はまた、かつての主家である上杉家において相談役を務めていた。

栄典や受賞

小森沢の功績は、彼の生涯において多くの栄典や受賞にも表れている。1890年には正五位、1895年には従四位に叙せられた。また、勲章としては、1885年に勲四等旭日小綬章を受賞し、1889年には大日本帝国憲法発布記念章、1895年には勲三等瑞宝章を授与された。

米沢の海軍

小森沢は米沢出身の海軍人材を育成しただけではなく、彼の影響を受けた一世代の海軍人たちも存在する。著名な海軍の将官には、元大将の山下源太郎や黒井悌次郎、南雲忠一らがいる。それに加え、中将や少将、大佐といった様々な階級にも、数々の米沢出身者が名を連ねている。小森沢の努力と情熱により、米沢から海軍という新たな道が開かれ、数多くの若者たちがその道を進み、彼らの足跡は今もなお語り継がれている。

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