小池民男

小池民男（こいけ たみお）は、1946年10月5日に生まれ、2006年4月25日に逝去した、日本の著名なジャーナリストです。朝日新聞社において、編集委員と論説委員を兼務し、特に朝刊のコラム「天声人語」の執筆者として広く知られています。

岐阜県益田郡萩原町（現在の岐阜県下呂市）出身で、地元の中学校を卒業後、東京大学法学部に進学。大学では丸山真男ゼミに所属し、政治思想や社会学に対する深い知識を培いました。1969年に朝日新聞社に入社してからは、学芸部の記者として長く活躍し、学芸部次長などの要職も歴任しました。

1991年には論説委員に就任し、より幅広いテーマで記事を執筆。1997年1月から2000年7月にかけては、朝日新聞夕刊のコラム「素粒子」を担当しました。2001年4月1日からは、栗田亘の後任として、朝日新聞朝刊のコラム「天声人語」の執筆を始め、2004年3月31日まで連載を担当。日々の出来事や社会現象に対する鋭い視点と、温かみのある文章が読者から高い支持を得ました。

2005年4月4日からは、署名コラム「時の墓碑銘（エピタフ）」を毎週月曜日に連載開始。「幾時代かがありまして　茶色い戦争ありました―中原中也」という詩の一節から始まったこのコラムは、歴史上の人物や文学作品の引用を交えながら、現代社会の様々な問題点や人間の本質に迫るものでした。このコラムは、2006年4月3日の「権力は腐敗する　弱さもまた腐敗する―エリック・ホッファー」という言葉を最後に、小池の絶筆となりました。

2006年初頭に食道癌を患い入院。病床でも執筆活動を続けましたが、同年4月25日午前4時33分、食道癌のため東京都中央区築地の国立がんセンターで死去しました。享年59歳。

著書には、連載していたコラムをまとめた『時の墓碑銘（エピタフ）』（朝日新聞社、2006年）があります。また、翻訳書として、レイモンド・ウィリアムズの『文化とは』（晶文社、1985年）を手がけています。これらの著作からも、小池民男の幅広い知識と深い洞察力が伺えます。ジャーナリストとして、読者に考えさせる記事を書き続けた小池民男の功績は、今後も語り継がれていくことでしょう。

小池民男は、その生涯を通じて、ジャーナリズムの発展に大きく貢献しました。彼の作品は、社会に対する深い洞察と、人間に対する温かいまなざしに満ちており、多くの人々に影響を与え続けています。彼の言葉は、今もなお、私たちに様々な問いを投げかけ、思考を深めるきっかけを与えてくれます。

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