小玉健吉

小玉 健吉（こだま けんきち）について

小玉健吉（1920年1月25日生 - 2005年7月6日没）は、日本の科学者であり、特に酵母菌に関する研究で知られる工学博士です。彼は森林微生物の調査や分類に力を入れ、野生の酵母に関する研究を行いました。また、成長した酵母の中から新たに発見された「白神こだま酵母」は、非常に高い耐冷性と発酵能力を示し、特に注目を集めています。彼はまた、俳優の北村匠海の親戚でもあります。

生い立ち

小玉健吉は秋田県南秋田郡飯田川町（現在の潟上市）で生まれました。彼は旧制の秋田県立秋田中学校を卒業後、旧制広島高等工業学校に進学し、1942年には大阪帝国大学工学部の発酵工学科を卒業しました。その後、1943年に陸軍燃料本部技術研究所に配属され、発酵燃料の研究に従事しました。彼の最終的な階級は陸軍中尉でした。

研究キャリア

戦後、小玉は実家の小玉合名会社（現在の小玉醸造株式会社）で働き始めました。同社は1879年に創業した企業で、彼は自社製品の味噌、醤油、清酒のために酵母の研究を続けました。定年退職後も、自宅に設けた個人研究室「小玉醸造株研究室」で、森林微生物の研究を行い、収集した微生物のサンプル数は世界でも有数のものだと言われています。

1997年には、白神山地の原生林にある腐葉土から採取した酵母を基に、秋田県総合食品研究所との共同研究により、パンに適した4株の酵母を特定しました。その中から選ばれた1株は「白神こだま酵母」と名付けられ、特に発酵性や保存性に優れることが確認されました。彼はもともと新たな日本酒の開発のために白神山地の調査を行っていたと言われています。

メディアへの出演

1970年代には、自身が関与した小玉醸造の清酒「太平山」のテレビCMにも出演し、広く知られる存在となりました。

論文と寄稿

小玉の研究は多くの学術論文や寄稿文にまとめられています。彼の論文の中には、酵母の分類や新種の発見に関するものが多く含まれており、これらの業績は日本の発酵工学や醸造技術において影響力を持っています。特に、酵母の生産するプロテアーゼに関する研究や、酒母中の野生酵母についての考察など、彼の研究はさまざまな分野での応用が期待されています。

まとめ

小玉健吉は、酵母菌研究の分野において特に重要な貢献をした科学者でした。彼の業績は、日本の伝統的な醸造技術の進展に多大な影響を与え続けています。彼の遺産は、今後の研究者たちによっても受け継がれていくことでしょう。

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