小田急2100形電車

小田急2100形電車の概要

小田急2100形電車は、小田急電鉄が1954年から1975年まで運用した通勤用電車で、当初のABF車両と類似した走行機器を備えつつ、軽量化に挑戦した試作車両でもあります。2100形は、車体構造がその後の2200形以降のモデルにも受け継がれ、電車の設計において重要な役割を果たしました。

登場の背景

1950年代の日本では、多くの鉄道事業者が、高性能車両の開発に力を注いでいました。小田急も同様に、台車や車体の軽量化、また小型の電動機による駆動方式の変更に挑んでいました。その一環で、高速性能を向上させるための新しい車両の必要性が高まっていましたが、制御装置や制動装置にはさらなる考慮が求められました。そこで、まずは軽量化に特化した小田急2100形が製造されることになりました。

車両の仕様

2100形は、17.5mの長さを有し、2両編成として運用されました。新宿方の先頭車両は制御電動車のデハ2100形で、小田原方の先頭車両は制御車のクハ2150形です。それぞれの編成は、主要メーカによって製造され、全体での運用がなされました。

車体と内装

全長は17,500mmで、幅は2,700mm。小田急電鉄の車両としては初めて、ノーシル・ノーヘッダー設計が採用されており、外装は統一されたぶどう色が施されました。正面には貫通型の3枚窓が配されています。乗客用の1,100mm幅の片開き扉が3箇所に配置され、990mm幅の2段上昇窓も各車両に取り入れられています。内部はロングシートで統一され、照明には初めて蛍光灯が使用されています。

主な機器

運転のための主電動機は、三菱電機製のMB146-CF形が採用され、駆動装置は引き続き吊り掛け方式が採用されました。台車は住友金属工業製の軸ばね式台車FS14形が使用され、制動装置には自動空気ブレーキと中継弁が付加されたAMMR-R形が選ばれています。クハ2150形には電動発電機が搭載され、安定した電源を確保していました。

運用の歴史

1954年の運用開始以来、2100形は通常の運行に従事しましたが、制動装置の特性から一部の乗務員にとっては扱いにくい部分もあったといわれています。1956年には特殊警笛の試験にも使用され、1957年にはディスクブレーキの試験も行われました。1962年には車両の塗装デザインが改良され、アルミサッシの導入も進められました。1973年には実質的に4両固定編成としての運用が開始され、1975年に全車両が廃車となりました。

譲渡とその後

廃車後は、一部車体が三岐鉄道へ譲渡され、改造されて三岐線で運用されましたが、1990年から1991年にかけて全車廃車となりました。小田急2100形は、様々な技術革新の試みと、通勤車両における歴史的な進化を示す重要な存在でした。

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