小田急500形電車

小田急500形電車について

小田急500形電車は、1966年から2001年までの間、小田急電鉄にて活躍した跨座式モノレール車両です。この車両は、川崎市多摩区の向ヶ丘遊園までのアクセスを担当するために、専用車両として登場しました。その際、この路線は従来の「豆電車」に代わる輸送手段として開発されました。500形電車は、営業運転を行う日本初のロッキード式モノレール車両です。姫路市営モノレールの運行が終了した後は、日本国内で唯一のロッキード式モノレールとされました。

経緯と運行の背景

向ヶ丘遊園駅と遊園地自体を結ぶルートには、1927年から戦時中まで「豆汽車」というガソリン機関車が牽引する客車が運行され、戦後は蓄電池機関車を用いる「豆電車」が使われていました。しかし、1965年にバイパス工事が始まると、豆電車の廃止が決まり、遊園地への新たなアクセスの創出が求められました。

小田急は効率的な建設費用の観点から、ロッキード式モノレールの導入を決定しました。これにより、川崎航空機工業岐阜製作所で行われていた試験車両を購入し、低コストでの導入を実現しました。この結果、500形電車がモノレール線に導入され、ロッキード式モノレールの実用化が果たされました。

車両の特徴

500形電車に関する製造タイミングについては、公式記録と実際の製造時期の間に若干のずれがあります。公式には1966年製とされていますが、実際には1962年に試作車が製造され、その後1965年に小田急に譲渡されました。この時、外観デザインは軽量化と効率性を考慮し、アルミ合金が使用されています。

車両には外吊り式の片開扉が2箇所の山側と1箇所の海側に設置されていましたが、駅プラットホームとの配置が山側に統一されていたため、通常の乗降は山側の扉で行われていました。内部は一方向に向いた固定クロスシートが採用され、送風装置が設置されていましたが、冷房は装備されていませんでした。

主要機器と制御方式

500形は、ウェスティングハウス社製の電空カム軸式の抵抗制御装置を搭載しています。この装置は主電動機を2基ずつまとめて制御し、直列8段で運行されていました。また、主電動機として三菱電機製の直巻電動機が搭載され、特殊空気ばね台車を使用していることも特徴です。

変遷と廃止

500形電車は、開業から長期間にわたり運行されましたが、老朽化や防火基準への対応が求められる中で、1994年には重大な損傷が発生しました。運行が急遽休止となり、採算性の悪化や利用者の減少と相まって、2001年にモノレールの廃止が決定されました。これにより、500形電車も廃車となり、向ヶ丘遊園も閉園に至りました。

結び

小田急500形電車は、長い歴史を持つロッキード式モノレールの象徴的存在でした。1970年代から1980年代には、特別イベントに活用されるなど、地域の文化の一端を担っていたことでも知られています。その運行終了後は、モノレールとしての役割を全うし、歴史に名を刻んでいます。

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