小穴進也

小穴進也は、1914年3月3日に長野県で生まれた地球化学者です。弁護士の父、小穴喜一と、政治家の家系である母、みどりの間に生まれました。旧制松本高校を経て、1938年に東京帝国大学理学部化学科を卒業しました。

その後、1942年に名古屋帝国大学理学部化学科の助教授として着任し、分析化学講座を担当しました。1951年には教授に昇進し、1977年に定年退官するまで、長年にわたり名古屋大学で教鞭を執りました。退官後、名古屋大学名誉教授の称号を受けました。また、日本地球化学会の会長も務めるなど、地球化学の発展に大きく貢献しました。

小穴進也は、研究者としてだけでなく、社会問題にも積極的に関わりました。特に、1968年に発生した四日市公害では、その原因究明に尽力しました。当時、四日市海上保安部警備救難課長であった田尻宗昭が、日本アエロジル四日市工場から排出された廃酸による公害被害を立件する際、大企業を相手に尻込みする研究者が多い中、小穴は塩酸の海中拡散実験などに協力し、田尻を支援しました。

小穴進也は、歴史的な背景も持つ人物でした。江戸時代の農民騒動である貞享騒動で処刑された小穴善兵衛の子孫であり、その縁から、小穴進也の墓は、善兵衛の墓がある通称「いちょう堂」（長野県安曇野市三郷温）の敷地内にあります。

小穴進也は、数多くの著述も残しており、その学術的貢献は多岐に渡ります。主な著書には、以下のようなものがあります。

「恒温槽」『化学実験学 総論第1巻 化学実験総論』所収、河出書房、1940年
「天然水の重水濃度測定法」『化学実験学 第1部第12巻 地球化学』所収、河出書房、1941年
* 「ガス分析」菅原健・山崎一雄（共編）『基礎定量分析』所収、朝倉書店、1956年

小穴進也は、2007年11月13日に生涯を閉じましたが、その功績は今もなお、多くの人々に影響を与え続けています。その研究は、地球化学の発展に大きく貢献し、また、社会問題にも積極的に関与した姿勢は、後進の研究者たちの模範となっています。
1987年には、その長年の功績が認められ、勲二等瑞宝章を受章しました。

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