小笠原持長 (京都小笠原氏)

小笠原持長の概要

小笠原持長（おがさわら もちなが）は、室町時代中期に活躍した室町幕府の幕臣であり、有職故実家として知られています。彼は小笠原流弓馬故実の基礎を築き、弓術や騎射に関連する様々な著作を残しました。持長は、応永30年（1423年）には幕府の射手として仕官し、1440年には6代将軍足利義教の弓術師範に任命されており、その技術と知識は高く評価されました。

持長の経歴

持長は、弓術に関する豊富な知識を持ちながら、歌道にも精通していました。彼の名は、文学作品である清巌正徹の『草根集』にも見られ、室町時代の文化的な影響力を示しています。彼は1458年に75歳で亡くなりました。

所領に関する記録

持長に関する重要な歴史的記録には、彼の所領に関する裁判文書があります。1431年12月23日付の記録では、備中国草間村の所領について、守護の細川氏による押領を訴えています。この訴訟において、持長はおじからの相続が法的に認められ、彼の相続権が認められました。

また、1432年8月12日付の記録では、持長が知行していた山城国富野郷と相国寺領の寺田庄との境界をめぐる争いが記されています。富野郷側の狼藉によって寺田庄側が勝訴し、この事件は持長の知行に影響を与えました。

著作と影響

持長が残した著作は多数あり、特に「騎射秘抄」、「射礼私記」、「射御拾遺集」、「笠懸日記」などが知られています。これらの著作は、弓術の技巧や礼儀作法を体系化し、後の武士たちに多大な影響を与えました。特に、持長の著作は、弓術の実践だけでなく、武士としての心構えや文化的価値観も示しており、武士の教養を深めるための重要な資料とされています。

持長が築いた基盤は、後の時代の武士や弓術師範たちにも引き継がれ、小笠原流はその名を刻む流派となりました。彼の功績は、単に武道の領域にとどまらず、室町時代の文化の発展にも寄与したといえるでしょう。

参考文献

• - 安田元久編『鎌倉室町人名事典』新人物往来社、1990年。
• - 二木謙一「室町幕府弓馬故実家小笠原氏の成立」『中世武家儀礼の研究』吉川弘文館、1985年。
• - 稲田利徳「新編正徹年譜-下-〔宝徳3～長禄3年〕」岡山大学教育学部研究集録
• - 本郷和人『武士から王へ―お上の物語』筑摩書房、2007年。

小笠原持長の人生と業績は、室町時代における弓術を通じて、武士の文化を豊かにする土台を築いたのです。

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