小選挙区比例代表連用制とは？意味をやさしく解説

小選挙区比例代表連用制とは

小選挙区比例代表連用制は、選挙制度の一つであり、小選挙区制の要素を加味した比例代表制です。一般的な比例代表制とは異なり、各政党の議席数は比例代表の得票率に応じて配分されますが、当選者の一部は小選挙区で選出される点が特徴です。また、類似の制度である小選挙区比例代表併用制とは異なり、超過議席が発生しません。

仕組み

比例代表の議席配分においては、通常、ドント式が用いられます。これは、各党の得票数を1、2、3…と順に整数で割り、その商の大きい順に議席を配分していく方式です。小選挙区比例代表連用制では、ドント式の計算において、小選挙区で獲得した議席数を考慮します。具体的には、各党の得票数を「小選挙区で獲得した議席数+1」で割った数値を、ドント式の計算に用います。

この方式により、比例代表で配分される議席数は、小選挙区で獲得した議席数を差し引いた数となります。その結果、選挙結果は、小選挙区も含めた全議席を純粋に比例代表の得票数に応じて配分した場合に近づきます。

日本における議論

日本では、小選挙区比例代表連用制が実際に採用された例はありません。しかし、過去に政治改革の一環として、この制度の導入が検討されたことがあります。1993年には、民間政治臨調が都道府県を単位とした小選挙区比例代表連用制を提唱しました。また、2012年には、当時の与党であった民主党が、比例定数を削減する代わりに、連用制の導入を提案しました。

問題点

自由法曹団は、2票制を採用した連用制では、小選挙区で議席を獲得した政党への比例区の投票価値が大きく割り引かれることになり、投票行動の結果や投票意思が恣意的に操作されると指摘しています。また、無所属候補擁立による「連用制破り」の可能性も指摘されています。

一部連用制を採用した場合、並立制部分の影響が残り、第3党以下の議席拡大の大半を、最初の除数が大きくなる第2党が負担することになり、小選挙区での大敗結果が中和されないため、一党優位体制をさらに助長すると指摘されています。

諸外国の例

欧米では、小選挙区比例代表併用制と区別しない分類法が主流ですが、超過議席を発生させない、やや小選挙区制に重きを置く方法をAMSとして区別する用法も存在します。スコットランド議会やウェールズ議会、ロンドン議会などで採用されています。また、ボリビア代議院もこの制度を採用しています。

ハンガリーの国民議会、1994年から2005年までのイタリアの下院、および2005年までの上院の方式などは小選挙区比例代表並立制の要素も強いですが、部分的に比例代表制に重きを置いていたので、AMSに類別する考えもあります。

まとめ

小選挙区比例代表連用制は、小選挙区制と比例代表制の長所を組み合わせた選挙制度として、様々な議論があります。制度の設計によっては、民意をより正確に反映できる可能性がありますが、同時に、投票行動の操作や一党優位体制の助長といった問題点も指摘されています。制度の導入にあたっては、これらの点を十分に考慮する必要があります。

小選挙区比例代表連用制