小野木源次郎

小野木源次郎：激動の時代を駆け抜けた不屈の精神

小野木源次郎は、安政元年（1854年）に会津藩士の家に生まれました。幕末の動乱期には会津藩の一員として戊辰戦争に従軍し、負傷しながらも勇敢に戦いました。明治維新後、小野木は警察官の道へ進み、長崎県警部として梅香崎警察署長を務めた際には、長崎事件と呼ばれる清国水兵との衝突事件に遭遇。冷静な指揮で事態の収拾に尽力しました。

警察官としての活躍

その後も、福島県、北海道庁、長野県など各地の警察部長を歴任し、その手腕を発揮しました。1907年（明治40年）には、長年の警察官としてのキャリアに区切りをつけ、実業界へと転身。信濃電気株式会社の社長に就任し、経営者としての才能も発揮しました。信濃電気では、上田電灯との合併を通じて供給エリアを拡大し、会社の発展に大きく貢献しました。

若松市長としての功績

1912年（大正元年）には、故郷である若松市（現・会津若松市）の市長に就任。約1年7ヶ月の在任期間中、故郷の発展に尽力しました。小野木は、その文武両道に秀でた人柄から、周囲から「古武士」と評されていました。また、会津会会員としても活動し、会津の歴史と文化を大切にしました。

人物像とエピソード

小野木は幼少の頃から文武両道に優れ、完全主義者として知られていました。長崎事件では、清国水兵による暴動に際し、自ら指揮を執って沈静化に努めました。この際、熊本鎮台司令官から「警察署に火を放って自決すれば、軍が後始末できたのに」と冗談を言われたというエピソードも残っています。これは小野木の責任感と覚悟を示すものと言えるでしょう。

1925年（大正14年）、小野木は70歳でその生涯を閉じました。彼の墓所は、会津若松市の飯盛山にあります。小野木源次郎は、幕末から明治、大正という激動の時代を、武士、警察官、実業家、政治家として駆け抜けた、まさに不屈の精神を持った人物でした。

小野木源次郎の主な経歴

1854年（安政元年）：会津藩士の家に生まれる
戊辰戦争に従軍
警視庁入庁
長崎県警部、梅香崎警察署長
福島県、北海道庁、長野県などで警察部長を歴任
1907年（明治40年）：信濃電気株式会社社長
1912年（大正元年）: 若松市長
1925年（大正14年）：死去

栄典

1906年（明治39年）4月1日 - 勲四等旭日小授章
1907年（明治40年）7月20日 - 従五位
* 1907年（明治40年）12月10日 - 正五位

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