小錦 (冠位)

小錦（しょうきん）について

小錦は、637年に制定された日本の古代冠位制度の一部であり、646年から648年までの短い期間で使用されました。この位階は、十三階の中で8番目に位置し、大錦の下、そして大青の上に置かれ、その名の通り、非常に特別かつ重要な役割を果たしました。

制定の背景

小錦は、643年に制定された「七色十三階冠」の一環として成立しました。この冠位は大化3年、すなわち647年に公式に設けられ、翌年の4月1日からその使用が開始されました。小錦の冠は「小伯仙」という名前の優雅な錦で作られ、大伯仙の錦で縁取りがされていました。デザインには山の形が模され、大小の冠が形によって区別されていました。また、冠に使われた鈿は金や銀で作られており、真緋（鮮やかな赤色）の衣服を着用することが求められていました。

廃止と再編

大化5年、649年の2月に新しい冠位制度である冠位十九階が導入されると、小錦は小花上および小花下に分割され、公式に廃止されました。この制度の変革により、小錦という冠位が用いられることはなくなりましたが、663年に発表された冠位26階の制度では、小花は再び小錦に戻り、冠位としては小錦上、小錦中、小錦下との三つに分けられました。しかし、単独の冠位として小錦は存在することはなくなりました。

叙位された人物

実のところ、小錦の冠位を与えられた人物に関する記載は、1年のみの使用のため、古史『日本書紀』にも具体的な名は記されていません。ただし、小花上や小花下、また後の小錦上・中・下に関しては、多くの事例が存在します。天武天皇の時代においては、天皇からの贈り物を受けた際に、小錦以上の大夫、すなわち「マエツキミ」として一括で待遇される場面が見受けられました。676年の8月2日には、小錦以上の大夫たちが食封の恩恵を与えられた記録があります。

このような動きから、小錦以上の位階に属する人物たちは、特定の待遇を受けていたことを示しています。一方で、小錦の下に位置する「大山位以下」との括りが見受けられることから、この時代においても身分的な境界があったことが伺えます。

まとめ

小錦はその短い存在にかかわらず、日本の冠位制度において特異な地位を占め、他の冠位との関連性や後の位制との繋がりが興味深い対象です。冠位制度の変遷や位階にまつわる歴史は、古代日本の社会構造や文化を理解するための重要な手がかりとなるでしょう。

もう一度検索