少しは、恩返しができたかな

『少しは、恩返しができたかな』：難病と闘った青年の感動の実話

『少しは、恩返しができたかな』は、2005年に講談社より出版されたノンフィクション書籍、およびそれを原作としたテレビドラマです。原作は、主人公である北原和憲君の母、北原美貴子さんの体験に基づいて、和憲君の同級生の母である大橋照子さんが執筆しました。大橋さんは北原夫妻に何度も取材を行い、半年かけてこの作品を完成させました。テレビドラマ版でも大橋さんの協力がクレジットされています。

この物語の主人公、北原和憲君は、駒場東邦中学校・高等学校に通う生徒でした。彼は高校時代にユーイング肉腫というガンと診断されます。しかし、彼は病魔と闘いながら高校を卒業し、東京大学への入学を果たします。本作は、彼が亡くなるまでの軌跡を描いた感動的なストーリーです。

作品概要

原作: 2005年、講談社より出版。大橋照子著。北原和憲君の闘病生活と、彼を取り巻く人々の支えを描いたノンフィクション作品です。
漫画: 2005年、講談社の「BE・LOVE」にてコミカライズ。竹田真理子作画。全1巻。
テレビドラマ: 2006年3月22日、TBS系列でスペシャルドラマとして放送。視聴率は14.6％（ビデオリサーチ調べ、関東地区）を記録。北原和憲役を務めた二宮和也さんは、この作品で第15回橋田賞を受賞しました。劇中では、坂[[本九]]さんの名曲「上を向いて歩こう」が繰り返し使用され、物語に深みを与えています。2006年8月25日にはDVDも発売されました。

ストーリー（ドラマ版）

高校生の北原和憲は、卓球部の試合中に左脚の違和感を覚え、病院でユーイング肉腫と診断されます。突然の宣告に家族はショックを受けますが、和憲は前向きに闘病生活を始めます。抗がん剤治療を経て、順調に回復が見られた時期もありましたが、がん細胞の増殖は早く、その後放射線治療に切り替えられます。

そんな中、親友の牧内拓巳が医大受験を志望していることを知った和憲は、東京大学への受験を決意します。この決断に家族は驚きながらも、和憲の強い意志を受け止め、応援することを決めます。

和憲は、親友や卓球部の仲間たちの協力のもと、通院しながら自宅で受験勉強に励みます。しかし、肺への転移が判明し、病状は悪化。体力の低下により、歩行にも支障をきたすようになります。それでも和憲は諦めず、センター試験、そして東大前期試験に挑戦します。

高校卒業が危ぶまれる中、友人たちの尽力により卒業が許可され、和憲は見事東大に合格します。しかし、喜びもつかの間、大学での最初の講義後、小脳への転移が判明し、再び入院します。

その後、和憲は「家族に無理を言ったけど頑張って東大に入れたし、少しは恩返しできたかな」と親友に語ります。19歳の誕生日を迎えた和憲は、家族に見守られながら静かに息を引き取ります。

4年後、北原家は和憲の死から立ち直り始めていました。美貴子は、拓巳たちから大学卒業の記念写真に誘われ、東大を訪れます。そこで、卒業証書を手にした和憲の姿を想像し、「卒業おめでとう」と涙ながらに呟くのでした。

主要登場人物

北原和憲: 二宮和也（嵐）演じる主人公。根性があり、意志の強い青年。
北原美貴子: 大竹しのぶ演じる和憲の母。献身的に息子を支える母親像。
北原一郎: 村田雄浩演じる和憲の父。家族を支える頼もしい存在。
北原雅一: 高橋一生演じる和憲の兄。
牧内拓巳: 勝地涼演じる和憲の親友。医大受験を目指す。
卓球部部員: 和憲を支える仲間たち。
榊宏昭: 勝村政信演じる和憲の高校卓球部顧問。
* 阿川孝俊: 小木茂光演じる和憲の主治医。

この作品は、一人の青年の闘病と、それを支えた人々の愛を描いた感動的な物語です。和憲君の強い意志と、周囲の人々の温かい支えは、多くの視聴者・読者の心に深く響きました。

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