少女ロボット

少女ロボット：ともさかりえと椎名林檎の奇跡のコラボレーション

2000年6月21日、ともさかりえ名義の8枚目のシングルとして発売された「少女ロボット」は、音楽史にその名を刻む、特筆すべき作品です。このシングルは、椎名林檎が「シーナ・リンゴ」名義で全面的にプロデュース、編曲を手掛けた、完全プロデュース作品という点で大きな意味を持ちます。楽曲制作にとどまらず、ジャケット写真の撮影までシーナ・リンゴが担当した、並々ならぬ情熱が注がれた作品と言えるでしょう。

さらに、ミュージックビデオも制作されましたが、残念ながら商品化されることはありませんでした。このシングルは、長らく廃盤となっていたため、入手困難なレアアイテムとしてコレクターの間で高い人気を誇っていました。しかし、2009年に発売されたともさかりえのアルバム『トリドリ。』とベストアルバム『rie tomosaka best +3』に収録されたことで、再び多くのリスナーの耳に届くこととなりました。

「少女ロボット」の大きな特徴は、椎名林檎の鮮烈なクリエイティビティが惜しみなく注ぎ込まれている点です。同時期に発表された「カプチーノ」「木蓮のクリーム」、そしてアルバム『むらさき。』に収録された「シャンプー」といった楽曲と同様に、椎名林檎独特の世界観が全編にわたって展開されています。

このシングルには、「少女ロボット」の他に「いけない子」と「日本（にっぽん）に生まれて」の計3曲が収録されています。全作詞・作曲・編曲はシーナ・リンゴが担当し、演奏は「いけない子達（大人達）」という豪華な面々が務めています。ともさかりえはボーカルとブレスを担当し、ギターに田渕ひさ子、ベースとテルミンに岩井英吉、ドラムに時津梨乃、そして椎名林檎本人がピアノとハーモニーで参加しています。豪華なミュージシャン陣によって生み出された、完成度の高いサウンドが聴く者の心を掴みます。

「少女ロボット」は、日本テレビ系番組『FUN』のFUN'S RECOMMEND #011にも選出され、その注目度の高さを示しています。また、椎名林檎自身も自身のライブ「座禅エクスタシー」などでセルフカバーするなど、長く愛され続けている楽曲であることがわかります。2017年には、椎名林檎のアルバム『逆輸入～航空局～』に村田陽一による編曲でセルフカバーされ、改めてその魅力が再確認されました。

さらに、椎名林檎が所属するバンド、東京事変も2006年のライブツアー「“DOMESTIC!”Just can't help it.」で「少女ロボット」をセルフカバー。そのライブ音源は、同年8月30日にシングルとして配信されました。このように、様々な形で再解釈され、現在もなお愛され続ける「少女ロボット」は、ともさかりえと椎名林檎という二人の才能が融合した、まさに奇跡のコラボレーション作品と言えるでしょう。このシングルは、ともさかりえの音楽活動における最後の作品となりましたが、その後の活動再開と、楽曲の再評価によって、音楽史における重要な位置を占めるものとなっています。廃盤という希少性も相まって、「少女ロボット」は、多くの音楽ファンにとって特別な存在であり続けているのです。

もう一度検索