座禅エクスタシー

椎名林檎「座禅エクスタシー」

『座禅エクスタシー』は、2000年7月30日に福岡県飯塚市の嘉穂劇場で開催された、椎名林檎による一夜限りの特別なコンサートであり、その模様を収録したライブ映像作品です。2008年9月17日にデビュー10周年企画の第2弾としてEMIミュージック・ジャパンから発売され、2013年11月13日にはユニバーサルミュージックからBlu-ray Disc版もリリースされました。このBlu-ray Disc版は、初回生産限定のボックス・セット『LiVE』にも収録されています。

コンサートの概要

コンサートの正式名称は「椎名林檎 （稀）実演キューシュー 座禅エクスタシー」。椎名林檎が中学・高校時代を過ごした福岡県福岡市の隣町、飯塚市にある歴史ある劇場、嘉穂劇場を舞台に行われました。当時、彼女の人気が絶頂期にあったため、チケットは抽選販売となり、当選者のみが購入できるという状況でした。チケット代金は10,000円（公式には「御一人様福沢諭吉一人」と表記）と高額にもかかわらず、全席完売。購入できなかったファンがオークションで高値で落札する事態も発生しました。

嘉穂劇場は、普段は大衆演劇などを上演する小規模な劇場であり、全席桟敷席で約1,000人しか収容できません。そのため、チケットを入手できなかったファンや福岡まで足を運べないファンのために、東芝EMIはインターネットでのストリーミング生中継を実施しました。また、公演前日には、抽選に外れたファンを招き、ミュージック・ビデオの撮影も行われました（この映像は、後にミュージック・ビデオ集『性的ヒーリング〜其ノ参〜』、『私の発電』に収録されています）。

コンサートの特徴

当日、来場者には赤い服を着用するよう指示されました。これは、椎名林檎が「ロックバンドのボーカリストが『お前ら明日のライブには黒い服着て来いよ』と言っておいて、自分だけ違う服だったら面白いなと思って」と語ったように、観客との間にユニークな一体感を生み出すための演出でした。

また、このコンサートでは、これまで使用されてこなかったマニピュレーターが導入され、セットリストは「ここでキスして。」や「本能」などのシングルヒット曲はほとんど演奏されず、アルバム収録曲やカバー曲を中心に構成されました。シングル曲では「歌舞伎町の女王」のみが披露されています。セルフカバーでは、ともさかりえに提供した「少女ロボット」と「日本に生まれて」が初めて披露され、「サカナ」「ストイシズム」「日本に生まれて」が演奏されたのは、このコンサートが唯一でした。

演出は和を基調とし、椎名林檎を含むバンド「虐待グリコゲン」のメンバー全員が浴衣を着用。この和の世界観は、後の全国ツアー「雙六エクスタシー」にも受け継がれています。

嘉穂劇場の公式サイトでは、当時の写真が公開されており、コンサートの雰囲気を垣間見ることができます。

収録内容について

ライブ映像作品には、コンサートで6曲目に披露されたセックス・ピストルズのカバー曲「拝啓EMI殿」が収録されていません。これは、権利上の問題などによるものと思われます。

特典

初回生産分には、スリーブケース仕様と10周年第2弾ステッカーが封入されました。また、発売に先駆けて、特別編集されたWEBプログラム「座禅エクスタシー」予告編が1日限定で公開され、その後、再配信も行われました。

まとめ

「座禅エクスタシー」は、椎名林檎のキャリアの中でも特に異彩を放つ、伝説的なコンサートです。和を基調とした演出、レアなセットリスト、そしてファンの熱狂的な支持が、このコンサートを特別なものにしています。映像作品を通じて、その熱気を追体験できる貴重な機会となっています。

関連情報

嘉穂劇場
Electric Mole
嘉穂劇場公式HP (写真はトップページにある「嘉穂劇場の歴史」→「劇場写真館」にて見ることができる。)
座禅エクスタシー公式HP

もう一度検索