少年の魔法の角笛 (マーラー)

グスタフ・マーラー作曲：歌曲集『少年の魔法の角笛』

『少年の魔法の角笛』（Des Knaben Wunderhorn）は、グスタフ・マーラーが作曲した歌曲集です。ルートヴィヒ・アヒム・フォン・アルニムとクレメンス・ブレンターノが編纂した同名のドイツ民謡詩集から歌詞を選び、1892年から1898年にかけて作曲されました。

書名の「Wunderhorn」は、「不思議な角笛」と訳されるのがより適切でしょう。アルニムらの民謡詩集第2集（1808年）の表紙には、装飾が施された角製の入れ物が描かれています。

作曲の背景と経過

当初、『少年の魔法の角笛』は独立した歌曲として作曲され、出版時にまとめられました。そのため、初演時や出版時には異なるタイトルで発表されたものも存在します。

1892年1月28日：第1曲のピアノスコア完成
その後1ヶ月間：第2曲から第4曲のピアノスコア完成
1892年4月26日：「天上の生」（交響曲第4番第4楽章に転用）を含む楽曲群を「フモレスケン」としてフルスコア化
翌年：第5曲から第7曲と「原光」（交響曲第2番第4楽章に転用）を作曲
その後、「天上の生」と「原光」を削除し、第8曲から第10曲を作曲

1899年の初版では、第1曲から第10曲に加え、削除されていた「原光」と交響曲第3番第5楽章「3人の天使が歌った」の独唱版が追加されました。これらの楽曲は、ワインベルガー社からピアノスコアとフルスコアが出版されています（フルスコアには「3人の天使が歌った」は含まれていません）。

1899年には「死せる鼓手」、1901年には「少年鼓手」が独立した歌曲として作曲され、『リュッケルト歌曲集』と合わせて『7つの歌』として出版されることもあります。演奏順序は、『リュッケルト歌曲集』と同様に自由に組み合わせることが可能です。

収録曲

歩哨の夜の歌
むだな骨折り
不幸な時の慰め
この歌を作ったのは誰？
この世の生
魚に説教するパドヴァの聖アントニウス
ラインの伝説
塔の中で迫害されている者の歌
美しいラッパが鳴りひびくところ
高い知性を賛える

初期の出版時に存在した楽曲

原光（交響曲第2番の第4楽章に転用）
3人の天使が歌った（交響曲第3番の第5楽章、合唱から独唱への編曲）

当初含まれていたが出版時に削除された楽曲

天上の生（交響曲第4番の第4楽章）

単独の歌曲として作曲された楽曲

死せる鼓手
少年鼓手

演奏時間と編成

全12曲の演奏時間は約50分です。編成は曲によって異なります。

参考文献

音楽之友社『作曲家別名曲解説ライブラリー1 マーラー』 ISBN 4-276-01041-1 C1373

外部リンク

少年の魔法の角笛の楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト)

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