尚可喜

尚可喜（しょう かき）

尚可喜（しょう かき、1604年8月25日 - 1676年12月4日）は、明末から清初の武将であり、激動の時代を駆け抜けました。字は元吉、震陽と号しました。彼は、清朝に降伏し、その軍功によって平南王に封じられたことで知られています。

生涯

尚可喜は、元々明朝の官吏の家系に生まれました。祖父の尚継官は科挙に合格し、父の尚学礼、兄の尚可進と尚可福、従弟の尚可義も明の官吏として務めていました。1604年に生まれた尚可喜は、父に従って従軍し、耿仲明と共に毛文龍に仕え、明朝のために辺境の防衛に当たりました。しかし、袁崇煥が毛文龍を誅殺したことをきっかけに、後金（後の清）に投じ、清軍の一員として関内での戦いに参加することになります。

1649年、尚可喜は平南王に封じられ、耿仲明と共に広東に進出し、明軍を破るなど、数々の戦功を挙げました。広東に入ると、呉三桂らと共に藩王として封じられ、広東で私的に税を徴収し、莫大な富を得ました。

1673年、高齢となった尚可喜は、故郷への帰還を願い出ると共に、広東の地を次男の尚之信に継がせることを希望しました。しかし、清朝廷は帰郷は認めるものの世襲は認めないという決定を下し、尚之信ら三藩の廃止を企図します。これに対し、呉三桂と耿精忠が反旗を翻し、尚之信も呼応して挙兵しました（三藩の乱）。

挙兵に反対した尚可喜は、息子によって軟禁され、1676年10月29日に広州で73歳で亡くなりました。その後、彼の遺体は海城県の文安山（現在の遼寧省鞍山市海城市八里鎮大新村文安山）に埋葬されました。

年譜

1604年（万暦32年）：明の海州衛に生まれる。
1623年（天啓3年）：明の辺境防衛に従軍。
1634年（天聡8年）：東江総兵の沈世魁に攻められ、部下を率いて後金（清）に投降。部隊は「天助兵」と称される。
1636年（崇徳元年）：智順王に封ぜられる。
1644年：摂政ドルゴンに従って関内に入る。
1645年：軍を率いて湖北を転戦。
1646年：湖広に出征し、広州で敵を皆殺しにする（庚寅之劫）。
1649年：平南王に封ぜられ、金冊・金印を賜る。
1673年末：呉三桂が雲南で挙兵し清に反抗。耿精忠も呼応。呉三桂は尚可喜に挙兵を勧めるが、尚可喜は朝廷に報告し忠誠を示す。
1675年：平南親王として加封される。
1676年2月：次男の尚之信が反清の軍に参加したため、軟禁され、広州にて悶死。享年73。
1681年：遺言状により、海城に葬られる。

尚可喜の人物像

尚可喜は、激動の時代において、その時々の状況に応じて自らの立場を変えていった人物と言えるでしょう。明朝に仕えながらも、清に投降し、その軍功によって重用されました。しかし、晩年は三藩の乱に巻き込まれ、息子との対立の末に悲劇的な死を迎えることとなりました。彼の生涯は、時代の波に翻弄された一人の武将の姿を象徴していると言えるかもしれません。

関連事項

尚可喜紀念館
三藩の乱

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