尚弘子

尚弘子（しょう ひろこ）は、1932年12月25日に沖縄県那覇市で生まれた日本の栄養学者であり、琉球大学の名誉教授です。彼女は、沖縄の長寿と食文化を専門とし、その研究は国内外で高く評価されています。また、沖縄県副知事も務めた経験を持ち、行政の分野でもその手腕を発揮しました。

学歴と研究の道

尚弘子は、アメリカ合衆国への留学を機に栄養学の道へと進みました。ガリオア資金を得てミシガン州立大学で家政学を学び、1954年に学士号を取得。その後、同大学の大学院で栄養学の修士課程を修了しました。留学中には、後に沖縄県知事となる大田昌秀とも出会い、親交を深めました。

1958年には、琉球国王尚泰王の第四王子である尚順の六男、尚詮と結婚。1972年には、琉球大学で教授に就任し、研究と教育に尽力しました。1982年には、九州大学から「沖縄産甘蔗成分の白ネズミ血清および肝臓脂質に及ぼす影響」というテーマで農学博士号を取得しました。

琉球大学での活動

1956年にアメリカから帰国後、すぐに琉球大学の講師として教鞭を執り始めました。1972年には教授に昇任。栄養学を専門とし、沖縄の長寿と食文化に焦点を当てた研究活動を展開しました。2005年には、琉球大学名誉教授となり、その後の後進の育成にも尽力しています。

沖縄県副知事としての貢献

1991年、尚弘子は沖縄県副知事に就任しました。これは、大田昌秀知事の「女性副知事の登用」という公約に基づくもので、女性としては日本で2番目の副知事となりました。人選が難航する中、「金門クラブ」のメンバーからの推薦があり、就任に至りました。この時、夫の尚詮はすでに亡くなっていましたが、政治の世界に強い関心を持っていた夫の霊導があったのかもしれないと、彼女は語っています。副知事として、1994年までその職務を全うしました。

その他の役職と受賞歴

副知事退任後も、沖縄県公安委員会委員長、NHK経営委員会委員、沖縄協会理事、放送大学沖縄学習センター所長、沖縄観光コンベンションビューロー理事、健康科学財団理事、沖縄国際大学理事、沖縄科学技術大学院大学運営委員、沖縄県栄養士会名誉顧問、沖縄県文化振興会理事長など、多くの公職を歴任しました。

また、1978年に農林水産大臣賞、1979年に沖縄県知事賞を受賞。2006年には、長年の功績が認められ、瑞宝中綬章を受章しました。同年には、日本栄養・食糧学会功労者表彰、沖縄県功労賞も受賞しています。

著書と監修

尚弘子は、数多くの著書や監修を手掛けています。代表的な著書には、『南の島の栄養学―おいしく食べて元気に長生き』や『暮らしの中の栄養学―沖縄型食生活と長寿』などがあり、沖縄の食文化と健康に関する知識を広めています。監修には、『健康と長寿の島々・沖縄―沖縄の健康食品の素材と薬効を探る』や『沖縄ぬちぐすい事典―沖縄から伝える健康と長寿』などがあり、専門知識を活かした情報発信を行っています。

その他の活動

尚弘子は、学術研究の他、テレビ番組「美味しんぼ」に本人役で出演するなど、多岐にわたる活動を行っています。また、インタビューや対談などを通して、健康や食に関する情報を発信し続けています。その知識と経験は、沖縄県民の健康増進に大きく貢献しており、今後もその活動から目が離せません。

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