尚裕

尚 裕について

尚裕（しょう ひろし、1918年9月18日 - 1997年8月30日）は日本の侯爵で、第二尚氏の第22代当主であり、ショウエンタープライズの代表取締役としても知られています。彼は東京都で生まれ、父・尚昌の長男としての地位にありました。母は小笠原忠忱の次女である百子です。尚裕は1923年に父が亡くなった後、侯爵位を継承しました。

教育と軍歴

彼は東京帝国大学の文学部を卒業後、海軍に入隊し、大尉を務めました。戦争の終結を迎えた後、尚裕は日本の伝統的な文化財の保存に情熱を注ぐようになります。これは、彼が戦後の日本において重要な役割を果たすきっかけとなりました。

文化財の保存活動

尚裕の文化財保存に対する尽力は、特に1975年から1976年にかけて識名園の復元に力を入れたことが挙げられます。彼は私財を投じてこのプロジェクトを進め、1982年に国の名勝に再指定される結果をもたらしました。恐らく彼の意図は、沖縄の文化遺産を次世代に引き継ぐことであったでしょう。その後も、玉陵や崇元寺第一門・石牆の復元にも貢献しました。

寄贈と反発

しかし、沖縄県当局は長期的な保全維持の体制が整わなかったため、尚裕は1988年に東京に寄贈することを決めます。この行動は沖縄県民の強い反発を招き、地域の文化財行政にも影響を与えました。その結果、1989年には那覇市議会で琉球王国文化遺産の県外流出に反対する意見書が全会一致で可決されるに至ります。

寄贈のその後

尚裕は1992年に玉陵、識名園、崇元寺第一門・石牆を那覇市に寄贈し、1995年には浦添市に琉球王国の陵墓浦添ようどれの土地を寄贈しました。さらに、同年9月には尚家に伝わる古文書1341件、1996年には美術工芸品85件も寄贈しました。これらの重要な文化遺産は、2006年に「琉球国王尚家関係資料」として国宝に指定されました。沖縄県における戦後初の国宝の指定です。

名誉市民としての活動

その活動に対して、尚裕は1996年に那覇市から名誉市民の称号を授与されました。彼は東京と沖縄を往復しながら生活を営みましたが、尚家一族との交流はほとんどなかったとされています。1997年8月30日、沖縄の沖縄赤十字病院で亡くなりました。葬儀は翌月の9月3日に東京都台東区の寺院で行われ、長男が喪主を務めました。彼の遺体は2005年に沖縄の伊是名玉陵に埋葬されました。2010年には浦添市から名誉市民の称号も授与されています。

家族背景

尚裕の父は尚昌、母は小笠原家の親族である百子です。彼には前妻や後妻があり、子女が数人存在しました。特に三女の圭子は日本の社交文化において重要な役割を果たし、また長男の衞も今後の尚家を代表する存在となりました。

戦国武将の血筋

尚裕は、第二尚氏に位置づけられ、歴史的にも著名な武将の血を引いています。母方の血筋には徳川家康や織田信長、前田利家などが含まれ、彼の家系には多くの歴史の重みが秘められています。これらの血統が、彼にとってのアイデンティティや文化遺産の保全に対する情熱を育んだ一因でもあるでしょう。

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