尼寺(秘)物語

映画『尼寺㊙物語』についての詳細

『尼寺㊙物語』（あまでらまるひものがたり）は、日本映画界における一つの重要な作品として1968年に公開されました。この映画は、主に藤純子（富司純子）が主演を務め、中島貞夫が監督したことで知られています。製作は東映京都撮影所、配給も同社が手がけました。映画のストーリーは、京都の尼寺を舞台にし、俗世から離れて生きる尼僧たちの内面に迫った物語です。特に、女の性の本能が抑えきれない様子がストレートに描写されています。

あらすじ

物語は昭和9年の師走、琳光寺という竹林に囲まれた尼寺で始まります。ここには、万里小路秀英（三田佳子）をはじめ、恵照尼（荒木雅子）、浄真尼（藤純子）、法順尼（悠木千帆）と下女のはな（大原麗子）の5人の女性が暮らしていました。ある日、浄真尼が寺の本堂の修理を依頼されると、宗務総長の覚全にだまされ、手ごめにされる事件が発生します。この出来事を通じて、浄真は女としての快楽を知りながらも、それを抑えようと苦悩する姿が描かれています。

キャスト

映画では、見事なキャストが揃い、特に藤純子の演技は印象的です。他にも津川雅彦や若山富三郎、悠木千帆、大原麗子などが出演しています。各役者の演技が物語に深みを与えています。

制作背景

本作は、東映の企画を担当していた岡田茂が主導した「㊙シリーズ」の第3弾であり、前作が大ヒットしたことから、続編に対する期待も高まっていました。岡田は映画の製作にあたり、女優たちに挑戦的な役を提供することに力を入れていました。また、この作品では、監督の中島が過去の作品からインスピレーションを得て、尼寺の取材を通じて制作を進めました。

作品の評価と興行成績

『尼寺㊙物語』は当初の期待に反して興行的には失敗に終わりました。批評家からは、映像の美しさや表現力が認められたものの、ストーリー展開や内容に関して批判も多かったです。また、藤が脱ぐのを拒んだことも、期待されたエロティシズムを提供できなかった要因の一つとされています。このため、岡田茂は制作方針を見直し、より過激な内容を模索するようになりました。

映画の影響

この映画の製作後、東映では新たな路線を模索する動きが活発になり、役者たちに対する方針が大きく変わる結果となりました。岡田は作品の反響を受け、新しいアプローチを試みることになりました。その中で、後の『緋牡丹博徒』に結実する流れが生まれました。

結論

『尼寺㊙物語』は、単なるエロ映画とみなされがちではありますが、作品の中に潜む人間の本能や欲望が克明に描かれている点で、特異な位置づけを持つ映画です。藤純子の主演も注目されており、この映画を通じて彼女の女優としてのキャリアが次のステージへと進化していくことになりました。

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