尾城孝一

尾城 孝一: 日本の図書館員の先駆者

尾城孝一（おじろ こういち、1957年生まれ）は、日本の図書館界において重要な役割を果たしてきた図書館員である。彼は特にオープンサイエンスや学術情報の流通における革新に貢献してきた。

学歴と初期の経歴

1982年、尾城氏は早稲田大学大学院文学研究科の修士課程を修了し、図書館員としての道を歩み始める。その後、1983年より名古屋大学附属図書館に勤務したが、そこでの経験が彼のキャリアを大きく前進させることとなった。彼はさらに東京工業大学附属図書館や国立国会図書館、千葉大学附属図書館、国立情報学研究所などでの職務を経て、最終的には東京大学附属図書館の事務部長を2015年に務めることにいたった。

オープンサイエンスへの関与

尾城氏は、学術情報分野において特にオープンサイエンスの発展に寄与した人物である。彼は千葉大学在職時に、日本で初めての機関リポジトリであるCURATORの設立に携わり、この成果は2005年に実現した。これにより、国内の学術情報の流通が大きく変わり、図書館間の協力が進んだ。また、国立大学における電子ジャーナルの導入を促進するために、国立大学図書館協会のコンソーシアムにも関与した。

尾城氏は2005年から、国立情報学研究所で機関リポジトリを全国的に展開するための最先端学術情報基盤整備事業を主導し、国内のさまざまな大学や研究機関における学術情報の流通基盤を構築した。さらに、2017年にはオープンアクセスリポジトリ推進協会（JPCOAR）の設立をリードし、オープンアクセスの理念を広めることにも尽力した。

大学図書館の連携

2011年には、自らの経験を基に、国立、公立、私立を超えた大学図書館コンソーシアムの設立を実現し、JUSTICEと名づけられるこの団体は、533の大学が加盟する結果となった。初代事務局長としての任を果たす中で、尾城氏は各大学の学術情報への安定的なアクセス確保に貢献し、幅広い図書館コミュニティーからの支持を受けることとなった。

尾城氏はまた、日本学術会議科学者委員会の学術誌問題検討分科会の委員として、オープンサイエンス政策の策定にも参加し、研究者の役割の重要性を強調する方向性を提案している。彼の活動は、図書館がどのように科学研究を支援できるかを示す重要な例といえる。

結論

尾城孝一氏の職業人生は、図書館収蔵の枠を超えた学術情報の発展に対する情熱で構成されている。彼の業績は、ますます進化するオープンサイエンスの世界において、未来の図書館の在り方を模索する上でも重要な指針となるだろう。

もう一度検索