オープンアクセス

オープンアクセスの概念と歴史

オープンアクセス（Open Access、OA）とは、学術情報や研究成果をインターネットを通じて誰もが無料でアクセスできるようにすることを指します。このアプローチは、特に査読済みの学術雑誌に掲載された論文に対して広く適用されることが多いですが、他の形式の研究成果にも広がります。特に、クリエイティブ・コモンズライセンスなどを使用して、自由な再利用が認められる点も重要です。

歴史的背景

t オープンアクセスの発想は1990年代に遡ります。当時、大手出版社による学術雑誌市場の寡占が進み、出版のコストが高騰していました。従来の学術雑誌では、読者がサブスクリプション料金を払うことでアクセスするスタイルが一般的でしたが、このシステムには多くの問題がありました。特に、その高額な購読料が大学や研究機関の予算を圧迫し、多くの重要な研究が広く読まれなくなる状況が生まれてきました。これに対抗するため、2001年にはブダペスト・オープンアクセス・イニシアティヴ（BOAI）が立ち上げられ、オープンアクセスの普及が提唱されました。

オープンアクセスのモデル

オープンアクセスにはいくつかのモデルが存在し、それぞれ異なる特徴を持っています。

ゴールドOA

ゴールドオープンアクセスでは、出版された記事が読者に無料で公開されるため、著者が論文掲載料（APC）を支払う必要があります。このモデルは、研究機関や学会が経費を負担することもあり、完全に無料にすることができます。

グリーンOA

グリーンオープンアクセスは、著者が自己アーカイブすることにより達成されます。これにより、著者は論文を自分のウェブサイトや機関リポジトリに無料で公開でき、読者がアクセスできるようになります。

ハイブリッドOA

ハイブリッドオープンアクセスジャーナルは、オープンアクセス記事と従来のクローズドアクセス記事が混在する形式です。著者がオープンアクセスにするための費用を支払うことで、特定の記事がオープンアクセスとなります。これは、読者と著者の両方から料金を請求するため、批判を受けることもあります。

ブロンズOA

ブロンズオープンアクセスは、著作権ライセンスが明示されていない状態で、出版社のページ上でのみ記事が自由に読むことができる形式です。再利用には厳しい制限があることがほとんどです。

ダイヤモンドOA

著者や読者から料金を請求せず、助成金やサポートによって運営されるジャーナルをダイヤモンドオープンアクセスと呼びます。これにより、広範なコミュニティが支援する形で研究成果が公開されます。

成長と展望

オープンアクセスは、特に2000年代以降急速に普及し、様々な国で政策としても推進されています。アメリカ国立衛生研究所（NIH）では、助成を受けた研究の公表が法律で義務付けられ、他の国でも急速に対応が進んでいます。また、オープンアクセスの取り組みはオープンサイエンスやオープンリサーチとも呼ばれ、情報の流通と透明性を高める動きが活発化しています。

結論

オープンアクセスは学術情報のアクセス可能性を高め、研究成果を広く共有する新しい時代を築きつつあります。しかし、そのうちのいくつかのモデルは課題も抱えており、今後の展開が注目されています。学術コミュニティ全体にわたる討論や実践が、今後のオープンアクセスの形を形成していくでしょう。

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