尾山神社

尾山神社の歴史と魅力

尾山神社は、石川県金沢市に鎮座する神社で、加賀藩の藩祖である前田利家公とその正室である芳春院（おまつの方）を主祭神として祀っています。この神社は、江戸時代後期から明治時代初期にかけて、藩祖を祀る神社として全国的に流行した流れを汲むもので、その歴史と文化的な価値から多くの人々に親しまれています。

創建の背景

前田利家公が慶長4年（1599年）に亡くなると、その子である前田利長公は父の霊を祀ろうとしましたが、当時は公然と藩祖を祀ることが憚られました。そのため、越中国の神社から神々を勧請し、金沢城の東に卯辰八幡社を建立し、利家公を合祀しました。しかし、幕末には藩の財政難から神社は荒廃してしまいます。

明治時代に入ると、旧藩士たちが中心となり、新たな藩祖を祀る神社を創建する計画が持ち上がりました。1873年（明治6年）、金沢城の金谷出丸跡に新たな神社が建立され、尾山神社と命名されました。それまで利家公が祀られていた卯辰八幡社は、後に宇多須神社となっています。

神社の発展

尾山神社は、創建後も次々と境内施設が整備されていきました。特に注目されるのは、1875年（明治8年）に造立された特徴的な神門です。この神門は、洋風建築の様式を取り入れた擬洋風建築で、その独特なデザインから多くの人々を魅了しています。

また、1879年（明治12年）には、前田利長公と前田利常公が相殿に祀られ、歴代藩主を祀る境内摂社として金谷神社が創建されました。

1902年（明治35年）には、長年の昇格運動が実り、別格官幣社に昇格しました。これは、尾山神社が歴史的、文化的に重要な神社として認められた証と言えるでしょう。

祭神とご利益

尾山神社の主祭神は、前田利家公と芳春院（おまつの方）です。また、相殿には前田利長公と前田利常公が祀られています。これらの神々から、商売繁盛、必勝、文武両道、夫婦円満、子宝安産、災難除けなどのご利益があるとされています。

境内のみどころ

尾山神社の境内には、数多くの見どころがあります。

本殿と拝殿: 1873年（明治6年）に建立されたもので、歴史的な価値があります。本殿の右側の玉垣は、金沢で最初のレンガ造りの建築物です。
金谷神社: 歴代藩主とその正室を祀っています。
東神門: 金沢城二の丸御殿で使われていた唐門で、龍の彫刻が施されています。火災から免れたという伝説があります。
神苑: 金谷御殿の庭を整備したもので、「楽器の庭」とも呼ばれます。琴や琵琶など、雅楽の楽器をモチーフにした造形が特徴的です。
利家公金鯰尾兜の碑、前田利家騎馬像、お松の方（芳春院）像: 神社を訪れる人々を出迎えてくれます。
神門: 重要文化財に指定されている神門は、洋風建築を取り入れた独特のデザインで、尾山神社のシンボルとなっています。最上階には色ガラスがはめ込まれており、かつては灯台の役割も果たしていたとされています。

文化財と祭礼

尾山神社には、以下のような文化財があります。

重要文化財: 神門
国登録有形文化財: 東神門
石川県指定名勝: 神苑

また、尾山神社では、毎年様々な祭礼が行われています。特に有名なのは、前田利家公の命日にあたる4月27日に行われる例祭や、毎年6月中旬に行われる金沢百万石まつりです。

アクセス

尾山神社へのアクセスは以下の通りです。

自動車: 北陸自動車道金沢西IC、金沢東IC、金沢森本ICから約15分。
公共交通機関: JR金沢駅からバスで「南町」バス停下車、徒歩5分。
レンタサイクル: まちのり「尾山町ポート」を利用。

まとめ

尾山神社は、歴史と文化が息づく魅力的な神社です。金沢を訪れる際には、ぜひ足を運んでみてください。その歴史的な背景や美しい景観、そして様々なご利益が、訪れる人々を魅了することでしょう。

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