尾崎敬義

尾崎敬義：実業と政治の世界を駆け抜けた男

尾崎敬義（おざき ひろよし）は、1877年（明治10年）に生まれ、1965年（昭和40年）に没した、日本の実業家であり政治家です。彼は衆議院議員としてもその名を刻んでいます。

生い立ちと学歴

尾崎敬義は、愛媛県温泉郡松山（現在の松山市）で、愛媛県士族である尾崎敬正の長男として生を受けました。若い頃は文学者を志し、愛媛県尋常中学校（後の松山中学校、現在の愛媛県立松山東高等学校）で学びました。その後、東京帝国大学法科大学政治学科に進学し、1902年（明治35年）7月に卒業。さらに大学院に進み、経済学や財政学の研究に没頭しました。

実業界での活躍

当初は官界を志望していましたが、実業界へ転身。三井銀行に入行し、調査課長、部長といった要職を歴任しました。中国興業（中日実業）公司設立の際には、三井銀行から出向し、専務取締役としてその手腕を発揮しました。その他にも、浦口土地組合代表、中国綿業取締役、中日銀行取締役、東洋拓殖理事、朝鮮鉄道監事など、多岐にわたる役職を歴任し、日本の経済発展に貢献しました。

政治家としての顔

1917年（大正6年）4月、第13回衆議院議員総選挙に松山市部選挙区から出馬し、衆議院議員に初当選。中立の立場でありながらも、立憲政友会からの支援を受けました。しかし、次の第14回総選挙では、惜しくも押川方義に敗れ、落選。正交倶楽部に所属し、衆議院議員を1期務めました。

その後の活動

政界を離れた後は、再び実業界に復帰。北九州炭鉱取締役社長、東日本チタン工業取締役社長、北海道鉄鉱取締役会長、熱海国際観光取締役会長など、数々の企業の経営に携わりました。また、東洋協会理事、中央朝鮮協会理事、国際文化建設協会長なども務め、国際的な交流にも尽力しました。

著作活動

尾崎敬義は、実業家、政治家としての活動の傍ら、著作活動も行っていました。『銀行論』、『有漏雑染』、『喫茶去』、『秋花譜：随筆』、『春花譜：随筆』など、幅広いテーマで執筆活動を展開しました。

まとめ

尾崎敬義は、明治から昭和にかけて、実業家、政治家として多岐にわたる分野で活躍しました。三井銀行での要職、中国や朝鮮における事業、そして衆議院議員としての活動を通じて、日本の発展に大きく貢献しました。また、著作活動にも積極的に取り組み、その思想や知識を後世に伝えました。彼の生涯は、激動の時代を生き抜いた一人の男の足跡として、今もなお私たちに多くの示唆を与えてくれます。

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