朝鮮鉄道

朝鮮鉄道株式会社（ちょうせんてつどう）

朝鮮鉄道株式会社は、日本統治時代の朝鮮半島に存在した鉄道会社です。通称は「朝鉄」と呼ばれていました。

概要

1923年9月1日、朝鮮中央鉄道、南朝鮮鉄道、西鮮殖産鉄道、朝鮮森林鉄道、朝鮮産業鉄道、両江拓林鉄道の6社が合併して発足しました。資本金は5,450万円でした。

発足当初は役員選定が難航しましたが、最終的に以下の役員が選ばれました。

社長: 野村龍太郎（後に大川平三郎が奪還）
副社長: 入沢重麿（朝鮮総督府官僚）、福原俊丸
取締役: 武和三郎、岡村左右松、坂出鳴海
監査役: 室田義文、山本悌二郎、尾崎敬義

私鉄でありながら、朝鮮総督府鉄道局から人材が送り込まれるなど、公との結びつきが強い会社でした。建設した路線や地域的な広がりを含め、当時の朝鮮における最大の私有鉄道でした。

保有していた路線のうち、慶東線や慶北線などは後に朝鮮総督府が買収し、他の民営鉄道会社に売却された路線もありました。終戦時まで朝鮮南部に所有していた路線も、米軍の軍政期に国有化されました。現在もKORAILなどの路線の一部区間に残り、営業を続けています。

植民地期朝鮮の私鉄会社

日本統治下の朝鮮においては、1913年の全北鉄道を皮切りに、1930年までに22社26路線に免許が交付されました。これらの私鉄会社の公称資本金は1000万円～2000万円でしたが、当時の日本では株式会社の資本金が500万円以上のものは少数でした。朝鮮の私鉄会社は「朝鮮総督府より年八分の補給利子を受くる特典を条件として」公募されたため、申込数が非常に多くなりました。

合併前の各社

朝鮮中央鉄道が合併後の存続企業となり、他の5社は合併時に解散し朝鮮鉄道に吸収されました。

朝鮮中央鉄道: 1916年創立。渋沢栄一関連会社。
南朝鮮鉄道: 1920年、鈴木商店が設立。
西鮮殖産鉄道: 三菱製鉄の鉱山鉄道を買収して1919年頃設立。
朝鮮森林鉄道: 1920年設立。大川平三郎が設立（路線未開業）。
朝鮮産業鉄道: 1919年頃設立。藤山雷太の大日本製糖会社の朝鮮進出と関連して設立（路線未開業）。
両江拓林鉄道: 1920年頃設立。王子製紙を筆頭株主に設立（路線未開業）。

主な路線

終戦当時に所有していた路線は以下の通りです。

忠北線（鳥致院－忠州）
京東線（後の水驪線、水仁線）

かつて所有していた路線

慶北線（金泉 - 慶北安東）
慶南線（馬山 - 晋州、現在の慶全線の一部）
全南線（松汀里 - 潭陽、現在の光州線の一部）
咸北線（古茂山 - 茂山、現在の咸北線とは別で、茂山線の前身）
慶東線（大邱 - 蔚山および西岳 - 浦項 - 鶴山、標準軌改軌後現在の大邱線、中央線及び東海線の一部として残る）
黄海線（標準軌改軌後現在の黄海青年線、殷栗線の一部、長淵線、甕津線、白川線、鼎島線の前身）
咸南線（咸興 - 咸南新興、五老 - 上通、豊上 - 長豊、現在の咸南線またはクムゴル線とは別で、現在の新興線、長津線の一部）

参考文献

『朝鮮交通回顧録』（鮮交会）
鉄道省 編, 「鉄道停車場一覧 昭和12年10月1日現在」, 川口印刷所出版部
国分隼人（2007年）. 『将軍様の鉄道 北朝鮮鉄道事情』, 新潮社.

関連項目

朝鮮総督府鉄道
大韓民国の鉄道
* 朝鮮民主主義人民共和国の鉄道

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