尾崎石城

尾崎石城

尾崎石城（おざき せきじょう）は、文政12年（1829年）に生まれ、明治9年（1876年）に没した幕末期の忍藩士です。石城は字（あざな）であり、通称は準之助（はやのすけ）または舒之助。諱（いみな）は貞幹（さだみき）といいました。また、永慶（えいけい）、永春（えいしゅん）、華頂（かちょう）、襄山（じょうざん）といった画号も持っていました。

人物

石城は、もとは庄内藩士・浅井勝右衛門の次男として生まれましたが、後に忍藩士・尾崎隼之助勝義の養子となりました。性格は磊落不羈（らいらくふき）で、読書を好み、酒を愛したと伝えられています。豪快な一面もあり、興に乗ると5、6樽もの酒を空けたという逸話も残っています。

御馬廻役（おんまわりのやく、100石）を務めていましたが、安政4年（1857年）に藩政を批判する上書を提出したため、蟄居を命じられ、十人扶持の身分に落とされました。しかし、明治維新の際には、岸嘉右衛門らと共に忍藩のために尽力し、その才覚が認められ、明治元年に設立された藩校「培根堂（さいこんどう）」の教頭に任ぜられました。廃藩置県後には、明治政府に登用され、宮城県大主典に任ぜられましたが、明治9年に任地で病没しました。

石城日記

石城が十人扶持の身分に落とされた後、妹夫婦の家に身を寄せた文久元年（1861年）6月から文久2年（1862年）4月にかけて、彼の日々の生活を詳細に記録した絵日記が『石城日記』です。全7巻に及ぶこの日記は、色彩豊かに描かれており、当時の武士の生活を知る上で非常に貴重な資料となっています。特に、中級・下級武士の日常生活や食生活を知るための重要な手がかりとして、研究者や歴史愛好家から注目されています。

『石城日記』には、当時の物価や風俗、人々の交流の様子などが生き生きと描かれており、幕末の社会情勢を肌で感じることができます。また、石城自身の心情や考えも垣間見ることができ、彼の人間性を知る上でも興味深い資料となっています。

石城の日記は、単なる記録にとどまらず、当時の社会や文化を映し出す鏡のような存在であり、歴史研究において欠かすことのできない貴重な史料と言えるでしょう。

参考文献

大岡敏昭著 『武士の絵日記 幕末の暮らしと住まいの風景』（角川ソフィア文庫、2014年） ISBN 978-4-04-409217-7
永井義男著 『下級武士の日記でみる江戸の「性」と「食」』 河出書房新社 ISBN 978-4-309-22680-4

外部リンク

* 古文書室展示会 資料4『石城日記』

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