尾崎紀世彦セカンド・アルバム

『尾崎紀世彦セカンド・アルバム』

『尾崎紀世彦セカンド・アルバム』（Kiyohiko Ozaki Second Album）は、日本の歌手、尾崎紀世彦によって1971年7月25日にリリースされた通算2枚目のスタジオ録音盤です。日本フォノグラムより、規格品番FX-8017のLPレコードとして世に送り出されました。

本作は、尾崎紀世彦を一躍スターダムに押し上げる契機となった大ヒットシングル「また逢う日まで」を筆頭に、そのブレイク前にリリースされた1stシングル「別れの夜明け」といった先行楽曲とそのカップリング曲を含んでいます。さらに、アルバムの発売と同日には、本作にも収録されている楽曲「さよならをもう一度」が3枚目のシングルとしてカットされ、こちらもヒットを記録しました。この「さよならをもう一度」のカップリング曲は「夕やけの誓い」であり、これもアルバムに収められています。

アルバム全体の構成は、全12曲のうち6曲が尾崎紀世彦のためのオリジナル楽曲、残りの6曲がカバー楽曲というユニークなバランスが特徴です。レコードのSide 1には、先行シングルの「別れの夜明け」「また逢う日まで」、そして「夕やけの誓い」「帰郷」「おす犬」といった筒美京平や川口真が作曲・編曲を手掛けたオリジナル曲が並びます。Side 1の唯一のカバー曲は、藤田敏雄作詞、いずみたく作曲による「今・今・今」です。

一方、Side 2は「さよならをもう一度」のみがオリジナル楽曲で、佐々木勉作詞・作曲の「あなたのすべてを」、なかにし礼作詞・宮川泰作曲の「愛のフィナーレ」、永六輔作詞・中村八大作曲の「遠くへ行きたい」、山上路夫作詞・三木たかし作曲の「忘れないわ」、そしてサルヴァトール・アダモが作詞・作曲し安井かずみが訳詞を手掛けた「雪が降る」といった、往年の名曲や海外楽曲のカバーが中心となっています。尾崎紀世彦の圧倒的な歌唱力によってこれらのカバー曲は新たな魅力を放ち、特に「雪が降る」はアルバム収録曲ながら高い評価を受け、後に4枚目のシングルとしてリカットされる運びとなりました。

このアルバムには、阿久悠、山上路夫、筒美京平、川口真、いずみたく、佐々木勉、なかにし礼、宮川泰、永六輔、中村八大、三木たかし、サルヴァトール・アダモ（安井かずみ訳詞）といった、当時の日本歌謡界を代表する作詞家・作曲家・編曲家たちが多数参加しており、尾崎紀世彦の表現力の幅広さを示すバラエティ豊かな楽曲が収められています。

オリジナル発売から時を経て、このアルバムは様々な形で再リリースされています。1992年10月25日には初めてCD化（規格品番PHCL-8070）され、さらに2018年にはCD-R（VODL-60113）としても登場しました。そして2018年9月19日には、オリジナルのアナログテープを最新技術でデジタル化したDSDマスターを基にした高音質CD（MQA-CD/UHQCD、規格品番UPCY-40019）が発売され、再び多くの音楽ファンに届けられています。この再発は、本作が尾崎紀世彦のキャリアにおける重要な作品として、時代を超えて評価され続けていることを示しています。なお、2018年版の高音質CDには「オリジナル・アナログ・テープを基にした2018年最新DSDマスターを352.8kHz／24bitに変換して収録」されていることが特記されています。

また、関連情報として、後年リリースされたベストアルバム『GOLDEN☆BEST 尾崎紀世彦 サマー・ラブ』には、ボーナストラックとして1992年版の「あなたのすべてを」（編曲：ATOM）が収録されています。これは、オリジナルアルバムの枠を超えて、特定の楽曲が様々な形で提供されている例と言えるでしょう。

『尾崎紀世彦セカンド・アルバム』は、「また逢う日まで」の大ヒットという追い風を受けながらも、単なるシングル集にとどまらず、オリジナル曲とカバー曲の絶妙なバランス、そして一流の作家陣による楽曲によって、尾崎紀世彦の初期の音楽世界を深く掘り下げた意欲作であり、その後の彼のキャリアを確固たるものとした重要なアルバムとして位置づけられます。

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