尾陽神社

尾陽神社の概要

尾陽神社（びようじんじゃ）は、愛知県名古屋市昭和区御器所に位置する歴史ある神社です。この神社は、明治時代の初期に設立され、主に徳川家の重要人物を祀ることを目的としています。特に、初代尾張藩主である徳川義直や、14代・17代藩主の徳川慶勝が祀られています。神社の設立は、名古屋開府300年を記念する事業の一環で、1910年に旧尾張藩士たちの要望によって創建されました。

由緒の背景

尾陽神社の創建には、特筆すべき歴史的な背景があります。もともとは、名古屋東照宮に合祀されていた徳川義直と徳川慶勝を独立して祀るために設立されたものであり、地域の藩士たちの強い意志が反映されています。神社は1922年に県社に昇格し、大正時代には遷座も行われました。

戦中においては、別格官幣社に昇格する内示があったものの、太平洋戦争の影響でその夢は叶わなかったという歴史も持っています。初めて造られた社殿は神明造でありましたが、1945年の名古屋大空襲によって焼失しました。現存する社殿は1970年に再建されたものです。

さらに、1949年には天照大御神を主祭神として合祀し、その後もいくつかの神社との結びつきを持つようになりました。1973年には、栄世稲荷神社の神を迎え、1976年には久延彦神社の分霊を受け入れました。興味深いことに、久延彦神社の社殿は、山田神社から贈られたもので、過去には春日大社の本殿として使用されていたという由緒があります。

祭神と境内社

尾陽神社の祭神には、天照大御神の他に、徳川義直命と徳川慶勝命が含まれています。また、境内社としては、摂社に栄世稲荷神社（祭神：稲荷神）や久延彦神社（祭神：久延彦命）があり、末社として龍神神社や秋葉神社も祀られています。秋葉神社に祀られているのは火之迦具土大神です。

歴史的な遺産

神社が存在する御器所の地は、歴史的に平山城であった御器所西城の跡地と考えられています。城は嘉吉年間に佐久間家によって築かれ、織田信長に仕えた歴史を持つ人物たちと深く結びついています。残念ながら、周辺の開発によって、その遺構は確認できなくなりつつありますが、神社の西側にある石垣は最近の整備によるものです。

アクセス情報

尾陽神社へ行くには、名古屋市道堀田高岳線から自家用車でアクセス可能ですが、駐車場の台数は不明です。また、公共交通機関を利用する場合は、名古屋市営地下鉄鶴舞線の荒畑駅から約700mの距離に位置しています。名古屋市営バスの「東郊通3丁目」バス停からも約300mと便利です。

まとめ

尾陽神社は、地域の歴史を色濃く反映した場所であり、徳川家にゆかりのある祭神を祀る場として重要な役割を果たしています。訪問者にとって、歴史を感じるだけではなく、神社の静かな雰囲気を味わえる貴重なスポットと言えるでしょう。

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