尿道球腺液

尿道球腺液：その役割と注意点

尿道球腺液は、男性の尿道球腺から分泌される粘性のあるアルカリ性の液体です。一般的にカウパー腺液と呼ばれ、性的な興奮時に分泌されます。無色透明で無臭、わずかに塩味があり、伸びる性質を持っています。乾燥すると白色になり、濃い色の下着などに付着すると目立ちますが、水で簡単に落とせます。

尿道球腺液の役割

この液体は、性交においていくつかの重要な役割を果たすと考えられています。

膣内環境の調整: 弱酸性の尿道や膣内をアルカリ性に中和することで、精子の生存率を高めます。射精前に分泌されることで、精子が膣内で活発に活動できる環境を作ります。
摩擦軽減: 陰茎と膣の粘膜間の摩擦を軽減し、性交をスムーズに行えるようにします。
* 潤滑作用: 勃起した陰茎の表面を潤滑し、性交時の快適性を高めます。

分泌量は個人差があり、性的な興奮の度合いと持続時間に比例します。一度に分泌される量は1cc程度で、勃起状態にあることが多いですが、勃起していない状態でも軽微な興奮で分泌されることもあります。睡眠中の勃起では分泌されません。長時間のコンドーム使用では、コンドームと陰茎の間に液体が充満し、脱落のリスクが高まるため注意が必要です。

歴史と発見

1702年、イギリスの外科医ウィリアム・カウパーが解剖学書でこの液体を発表したことから、「カウパー腺液」と呼ばれるようになりました。しかし、それ以前の1684年にはジャン・メリーも発見しており、カウパーが第一発見者というわけではないようです。また、それ以前から、この液体の存在は広く認知されていた可能性があります。

妊娠との関連

尿道球腺液自体は精子を含んでおらず、生殖能力はありません。しかし、射精前に精子が尿道に排出され、尿道球腺液と混ざって排出される場合があります。そのため、膣外射精でも妊娠の可能性があることを理解しておく必要があります。妊娠を望まない場合は、コンドームの使用が不可欠です。膣外射精による避妊失敗の原因として、尿道球腺液に生殖能力があるという誤解がありますが、これは正確ではありません。

性感染症との関連

HIV感染者の尿道球腺液には、精液ほどではないにしろウイルスが含まれている可能性があります。性行為（膣・肛門への挿入、口による性行為を含む）では、コンドームの使用が強く推奨されます。特に、HIV検査を受けていない場合は、感染リスクを考慮する必要があります。日本においては、感染自覚のないHIV感染者が存在するため、注意が必要です。

まとめ

尿道球腺液は、性交における潤滑や、精子生存環境の調整など、重要な役割を果たす液体です。しかし、妊娠や性感染症のリスクについても理解し、安全なセックスを実践することが大切です。

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