屋代秀正

屋代 秀正（やしろ ひでまさ）

屋代秀正は、安土桃山時代から江戸時代前期にかけての日本の武将で、室賀満正の四男として生まれました。彼の人生は、家族の歴史や転機、戦国時代の波乱に満ちています。

略歴

秀正は、天正3年（1575年）に長篠の戦いが行われた年に生まれ、兄の屋代正長が戦死したため、秀正はその跡を継ぐ形で屋代正国の婿養子になりました。天正4年（1576年）には家督を引き継ぎ、武田勝頼の家臣としての道を歩み始めました。その後、天正10年（1582年）に武田氏が滅亡すると、彼は織田信長配下の森長可、さらに上杉景勝に仕官し、屋代をはじめ、塩崎、八幡、戸倉、上山田、坂城など広範囲の所領を得ることとなります。

また、彼は上杉景勝のもとで副将として重用されており、特に天正壬午の乱では、他の武将と連携しながら深志城を奪還し、筑摩と安曇両郡の統治を手に入れました。これは、彼の軍事的な才能を示す重要な戦績の一つです。

しかし、後に徳川家康が信濃国へ侵攻してくると、秀正は深志城を奪われ、次第に窮地に追い込まれました。その後、彼は上杉氏から逃げ出し、所領を失うことになりましたが、川中島の海津城に滞在しました。天正12年（1584年）には実弟の満俊と共に一族を引き連れて出奔し、徳川方に与することになりました。このタイミングに関しては、従来の天正11年から修正されたことは重要な歴史的事実です。

以降、秀正は徳川政権の武将として生涯を全うし、慶長19年（1614年）からの大坂の陣では、徳川軍の旗奉行として活躍しました。元和8年（1622年）には、徳川秀忠からの命令で甲府藩の小諸城代に任命されましたが、翌年に他界しました。享年66歳で、家督は子の忠正が継承しました。彼の墓所は山梨県北杜市にある勝永寺にあります。

系譜

屋代秀正の家庭背景には、彼の父である室賀満正や、養父の屋代正国が存在し、家族が持つ影響力は彼の人生に大きな影響を与えました。秀正の正室は屋代正国の娘であり、彼の長男である屋代忠正は1594年に生まれ、1662年まで生きました。

さらに、長女は室賀久大夫に嫁ぎ、次女の称光院は松平重則の正室となり、もう一人の娘も小尾重正の正室として嫁ぎました。秀正の次男である室賀正俊は、室賀満俊の養子として新しい家系を築きました。これらのことから、屋代家は戦国時代から江戸時代にかけて、武将家としての地位を維持し続けたことがわかります。

参考文献

• - 平山優『武田遺領をめぐる動乱と秀吉の野望-天正壬午の乱から小田原合戦まで-』戎光祥出版、2011年
• - 丸島和洋「屋代秀正」柴辻俊六・平山優・黒田基樹・丸島和洋編『武田氏家臣団人名辞典』東京堂出版、2015年

屋代秀正の生涯は、戦国の舞台を背景に、戦いと生き残りを賭けた武士の宿命を語っています。彼の業績や一族の歴史は、今後の研究においても興味深いテーマとなるでしょう。

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