屋良里之子

屋良里之子（ヤラ サトゥヌシ）

屋良里之子（1679年 - 1734年）は、琉球王国第二尚氏王朝時代の著名な囲碁棋士であり、外交官としても活躍しました。唐名は薛 以恭、号は道機。出家後は因祐と号しました。采地である屋良村にちなみ、「屋良里之子」として知られています。

生涯

屋良里之子は、勝連親雲上利良（薛芳哲）の長男として生まれました。幼少の頃から囲碁に親しみ、その才能を開花させました。康熙38年（1699年）には算用座の筆者となり、康熙44年（1705年）には尚貞王の前で囲碁を披露する機会を得ました。康熙45年（1706年）には従八品若里之子に任じられ、屋良村の地頭となったことから「屋良里之子」と呼ばれるようになりました。

江戸への使節

康熙48年（1709年）、屋良里之子は琉球使節の一員として江戸に派遣されました。これは、徳川家宣が征夷大将軍に就任したことを祝う慶賀使節であり、屋良里之子は美里王子朝禎（尚紀）を長とする使節団に随行しました。江戸では、当時の囲碁界の第一人者であった本因坊道知との対局が実現しました。

本因坊道知との対局

屋良里之子は、本因坊道知との対局で三子を置かせてもらい対局に臨みました。しかし、結果は二局とも中押し負けとなりました。この対局は「道知授屋良里之子三子局」として記録され、特に第二局は「十厄勢」として知られています。また、当時13歳の相原可碩三段とも対局し、2目負けを喫しました。

道知は屋良里之子の実力を認め、三段の免状を推薦し、伝法の書を贈りました。

帰国後の活動

帰国後、屋良里之子は康熙50年（1711年）に米御蔵の筆者に就任。その後も黄冠を叙され、御書院で御路地の役職を務めるなど、要職を歴任しました。康熙52年（1713年）には出家し、法号を因祐としましたが、引き続き琉球王国に仕え続けました。その後も南風原間切の新川地頭職、玉城間切の屋嘉部地頭職を歴任しています。

弟子の育成

屋良里之子は囲碁棋士として、後進の育成にも尽力しました。乾隆2年（1737年）には、熱田親雲上忠春（任弘済）を弟子として迎えました。熱田忠春は後に田頭親雲上として井上春碩因碩七段と対局し勝利。「日本国大国手」の免状を与えられています。

死去

屋良里之子は、雍正12年7月12日（1734年8月10日）に56歳で亡くなりました。彼の囲碁における功績と、琉球王国への貢献は、後世にまで語り継がれています。

屋良里之子は、囲碁の腕前はもちろんのこと、その人格においても高く評価された人物でした。彼の生涯は、琉球王国の文化と歴史を語る上で欠かせないものとなっています。

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