屏風闚

屏風闚（びょうぶのぞき）

屏風闚は、日本の妖怪の一つで、著名な妖怪画集『今昔百鬼拾遺』に由来しています。この妖怪は特に、屏風の外側から人々を覗き込むという特異な性質を持っています。実際には7尺もある高い屏風の向こう側を自在に覗けるとされています。

起源と伝承

この妖怪の起源に関しては、中国の古典に関連づけられています。秦の始皇帝が命を狙われた時、咸陽宮の屏風を飛び越えて逃げたという話が伝わっています。屏風闚が言及される7尺の屏風は、まさにこの咸陽宮の屏風を指していると考えられています。これは、屏風闚が鳥山石燕による創作物であり、中国の古典からインスパイアされているとの指摘もあるためです。

一方で、別の説では、長い年月にわたって多くの男女の秘密を見続けてきた寝室の屏風が付喪神（つくもがみ）となり、屏風闚として現れたとも言われています。このように、屏風闚の起源にはさまざまな解釈があり、妖怪に対する興味をかきたてます。

伝説と怪談

屏風闚についての伝説や怪談も数多く残されています。小説家の山田野理夫の著書『東北怪談の旅』には、「屏風のぞき女」というタイトルの怪談が収められています。この話では、秋田県仙北郡角館に住む武士・西田清左衛門が美しい新妻と結婚した際に、初夜に不思議な出来事が起こります。

清左衛門が新妻を抱こうとした時、周囲を囲む屏風の陰から、痩せた女が長い髪を垂らして覗き見ていたのです。清左衛門は驚き、その人物の出所を尋ねました。「のぞき女だ」との答えが返ってきました。この不気味な体験は、翌晩も続きました。清左衛門は対策として、屏風を立てるのをやめて蔵に屏風を収納することにしました。すると不思議なことに、もうそののぞき女は現れなくなったと言われています。この屏風は後に寺へ奉納されることとなります。

このように、屏風闚は日本の妖怪文化において重要な位置を占めており、様々な物語を通じて人々の記憶に残り続けています。その姿や行動は、神秘的でありながら人間の本能に深く根ざした恐怖感を呼び起こす存在です。日本の伝統文化や民俗学に興味がある人々にとって、屏風闚は確かに魅力的な研究対象となるでしょう。

まとめ

屏風闚は、日本の妖怪の中でも特異な存在であり、その起源や伝説は多様性に富んでいます。中国の古典から影響を受けたという説や、仏教的観点での解釈など、さまざまな文化的背景が絡んでいます。今後も、多くの人々がこの妖怪に触れ、その神秘的な世界に引き込まれることでしょう。

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