山の水族館

山の水族館：革新的な展示で人々を魅了する淡水魚の楽園

北海道北見市留辺蘂町温根湯温泉にある「山の水族館」は、その名の通り、山間部に位置する珍しい水族館です。もともとは「山の水族館・郷土館」として開館しましたが、集客減に悩まされていた時期を経て、2012年に大幅なリニューアルを遂げました。水族館プロデューサー中村元の監修のもと、世界初の「川が凍る水槽」や日本初の「滝つぼ水槽」といった斬新な展示が導入され、一躍人気スポットとなりました。

リニューアルの背景

旧「山の水族館・郷土館」は、1978年に開館。当初は年間5万人以上の来場者を集めていましたが、施設の老朽化や周辺施設の整備により、徐々に来場者数が減少していました。冬期休館の影響もあり、年間200～300万円の赤字が続くなど、経営は危機的状況に。そこで、抜本的なリニューアル計画が立ち上がりました。

リニューアルにあたっては、水族館職員の自由な発想を尊重し、中村元氏をプロデューサーに招聘。中村氏は、水槽の魅力を最大限に引き出すことに重点を置き、既存の建物を活用しながらも、特徴的な大水槽を設置することを提案しました。また、建設費を抑えるために、壁の板を薄くしたり、施設の裏側を簡素化したりするなど、徹底したコスト削減も行われました。

革新的な展示

リニューアル後の「山の水族館」の最大の魅力は、その斬新な展示方法です。

川が凍る水槽

世界初の試みとして話題を呼んだのが「川が凍る水槽」です。屋外に設置されたこの水槽は、冬になると水面が自然に凍り、氷の下を泳ぐ魚たちの姿を観察することができます。水槽内には、北海道の川に生息するオショロコマやヤマメなどが展示され、冬の厳しい自然環境をリアルに再現しています。

滝つぼ水槽

日本初の試みとして導入された「滝つぼ水槽」は、滝つぼを下から見上げるというユニークな視点を提供しています。半ドーム型の水槽内では、滝の激流に逆らう魚たちの姿を間近に観察でき、まるで滝つぼの主になったかのような気分を味わえます。

イトウの大水槽

「山の水族館」では、巨大なイトウを群れで飼育しています。この水槽にいるイトウは、各地の水族館で見られる養殖ものではなく、川から捕獲した天然ものです。1mを超える巨大なイトウが40匹ほど泳ぐ姿は圧巻で、その美しさ、迫力ともに日本有数と言われています。水槽の背景には、白樺の根が隠れ家として設置されており、自然環境を再現しています。

その他の展示

その他にも、川魚がジャンプする様子を観察できる「川魚のジャンプ水槽」や、温泉水を利用して熱帯魚を飼育する「世界の熱帯淡水魚」エリアなど、見どころ満載です。特に熱帯魚は、温泉水で飼育することにより、驚異的なスピードで成長し、大きく美しい個体になることが知られています。

温泉水の活用

「山の水族館」では、地元の温泉水（冷泉）を積極的に活用しています。温泉水は、魚の成長を促進するだけでなく、殺菌効果もあり、魚を健康に保つことができるといわれています。また、地下水も豊富で、濾過装置を使わずに水槽に直接水を流し込めるため、大幅なコスト削減にもつながっています。

集客と経済効果

リニューアル後の「山の水族館」は、数々のメディアで取り上げられ、全国的な人気スポットとなりました。開館当初の目標を大きく上回る来場者数を記録し、地域経済にも大きな貢献を果たしています。また、年間を通して開館することにより、冬場の観光客誘致にも貢献しています。2012年7月から2013年3月までの約9か月間に、北見市内に25億6,000万円の経済波及効果をもたらしたと試算されています。

水族館の理念

「山の水族館」は、単なる観光施設ではなく、「命をいただく」ことへの理解や食物連鎖の理解を深めるための「食育プログラム」としても機能しています。生きた魚を餌として与える「いただきますライブ」では、魚たちが生きるために力を振り絞る姿を目の当たりにすることで、命の尊さを実感することができます。

まとめ

「山の水族館」は、革新的な展示方法と、地元の資源を最大限に活用した水族館です。美しい魚たちの姿を間近に観察できるだけでなく、自然環境や命の大切さを学ぶこともできます。北海道を訪れる際には、ぜひ足を運んでみてください。

主な展示

世界初の「川が凍る水槽」
日本初の「滝つぼ水槽」
巨大イトウが泳ぐ大水槽
川魚のジャンプ水槽
温泉水を利用した熱帯魚エリア

その他の特徴

温泉水（冷泉）と地下水を使用
年間を通して開館
地域経済への貢献
食育プログラムの実施


関連施設

北きつね牧場（徒歩圏内）
道の駅おんねゆ温泉（隣接）

外部リンク

新・山の水族館 公式サイト
* 水族館スタッフ公式ブログ

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